- トイレの改修工事が修繕費に計上できるか知りたい人
- トイレの改修工事を行ったときの勘定科目を知りたい人
不動産賃貸業を営んでいる場合、賃借人退去の際に畳の交換やクロスの張り替え工事とともにトイレの改修工事が行われることがあります。
このトイレの改修工事は修繕費として経費に計上されるのでしょうか、それとも資本的支出として固定資産に計上されるのでしょうか?
トイレを全面改装した場合
まず、トイレの全面改装をした場合、改装にかかった費用全額が資本的支出になるため固定資産に計上する必要があります。
「ユニットバスの交換工事の固定資産部分と経費部分の区分方法と勘定科目」、「システムキッチンの取替工事は修繕費になるの?」でユニットバスやシステムキッチンはそれぞれを個別に分解することは難しく、全体で1つと考えられるため、全額が建物勘定になると説明しましたが、トイレの改修工事に関しては壁面・タイル・便器・洗面台はそれぞれ独立して存在し、セットのものとはみなされないため、1つずつ建物・建物附属設備に振り分けて考えることができます。
トイレスペースの壁面や床は建物の構成部分の一部ですから、その改修費用は、建物勘定に計上され、区分・耐用年数・償却方法は既存の建物に従うことになります。
壁面や床以外の便器や洗面台の改修費用は給排水設備や衛生設備となりますので、建物付属設備に該当することになり、15年で減価償却していくことになります。
故障した又は老朽化した設備のみを交換する工事の場合
故障した設備や老朽化した設備のみを交換する工事の場合をそれぞれ考えてみましょう。
便器のみの交換工事
故障した場合や老朽化のため従来と同様のものと交換する工事であれば、、全額が修繕費になります。
また、1台あたりの便器の交換工事費用が、20万円未満であれば、少額費用になるため全額を修繕費として経費に計上することができます。
しかし、、従来と比べて良質な素材が使用されている便器を設置した場合や和式便所から洋式便所に替えた場合などは、修繕には当たらないため、資本的支出として全額が資産に計上されることになります。
勘定科目は衛生設備のため、建物附属設備になり、耐用年数は15年になります。
壁面やタイルのみの交換工事
壁面やタイルが壊れた場合や老朽化した場合に、従来と同様のものに交換する工事であれば、、全額が修繕費となり経費になります。
また、1室あたりの壁面・タイルの工事費用が、20万円未満であれば、少額費用になるため全額を修繕費として経費に計上することができます。
しかし、従来と比べて、良質な素材が使用されている時は、修繕には当たらないため資本的支出として全額が資産に計上されることになります。
勘定科目は建物と一体不可分なため、建物勘定で処理されることになり、耐用年数は既存の建物の耐用年数に従うことになります。
洗面台のみの交換工事
トイレの中にある洗面台の交換工事は主要部分の交換工事には該当せず、部分品の通常の取替費用になる可能性が高いと考えられます。
よって、金額的にもあまりに高額でなければ、修繕費計上していても問題ないでしょう。
ただし、トイレを全面改装したときの費用は全額固定資産に計上するとされており、その中では洗面台も当然に固定資産計上されることになります。
そうであるならば、一方で固定資産計上になり、一方で修繕費となるのは少し矛盾すると考えらえると思います。
ここからは完全な私見ですが、20万円以上の洗面台のみの交換工事は、建物附属設備の給排水設備として資産計上しておく方が整合性が取れて良いと考えられます。
修繕費か資本的支出かの判断で微妙なものを資本的支出と判断して文句を言われることはないはずなので、迷ったら固定資産計上しておく方が無難でしょう。