新聞代や書籍代を経費に計上していいかどうかで迷った経験がある個人事業主の方は多いのではないでしょうか?
また、仮に経費に計上できるとして、どんな勘定科目で経費処理をすればよいのか?、消費税はどうなるのか?という疑問を持った個人事業主の方も多いでしょう。
今回は、個人事業主の新聞代・書籍代の経費計上の可否と勘定科目・消費税について解説していきます。
新聞代・書籍代は事業に必要かどうかで経費になるか決まる
個人事業主の新聞代・書籍代を経費に計上できるかどうかは、事業に必要あるかどうかで判断されます。
つまり、事業に必要ない新聞代・書籍代は、経費に計上できません。
例えば、税理士業を営んでおり、税理士の業界新聞で常にその業界の動向をおさえている場合、業界新聞代は、事業に関係あると判断され、経費に計上できますが、お客さんとの会話を弾ませるためにスポーツ新聞を購読していた場合、スポーツ新聞代は、事業に必要ないと判断され、経費に計上することはできません。
ただし、所得税は、納税者である個人事業主が事業に必要であるかどうかを判断する申告納税方式を採用しているため、個人事業主が経費として処理した新聞代や書籍代は、「税務調査がなければ」、事業に必要なくても経費として認められてしまいます。
また、仮に税務調査があっても、時間の制約上、少額の新聞代・書籍代はそもそも論点に挙がらない場合もありえます。
よって、書籍や新聞の購入費は何万円、何十万円もするものを除き、ある程度、納税者である個人事業主の判断で経費に計上できるかどうかが決まることになります。
新聞代や書籍代の経費計上の可否に関するQ&A
新聞代・書籍代の経費計上の可否は、個人事業主の判断に任されている部分が大きいのですが、さすがに基本を外すと税務調査の時に指摘されてしまいますので、基本事項をQ&A方式でまとめていきます。
- 個人事業主の新聞代は全額経費に計上できますか?
- 業界新聞など、明らかに事業に必要があると認められる新聞代は、全額経費に計上できます。
普通の新聞なども、事業に必要ならば、全額経費に計上できますが、新聞をご家庭で購入している場合、プライベートな部分もあると推測できますので、新聞代全額を経費に計上するのは難しいです。
例えば、事業に必要があると認められる部分とプライベートな部分を按分して経費に計上すると税務調査時に否認されづらくなります。
按分割合については、個人事業主本人が決めることになりますが、保守的にいくのならば、按分割合を30%程度、積極的にいくのなら、按分割合を50%程度に設定することになるでしょう。
いずれの按分割合を採用するにしても、その按分割合を利用した合理的な説明をできるようにしておきましょう。
- 個人事業主が経営本を買ったら経費に計上出来ますか?
- 残念ながら、個人事業主が経営本を買っても、事業に必要がないと判断され、経費に計上出来ません。
- 株式投資・FX・不動産投資の本の購入は経費に計上できますか?
- 基本的に経費に計上できません。
ただし、個人事業主の事業内容が株式投資・FX投資・不動産投資業のいずれかであれば、事業に必要になる書籍代なので、経費に計上できます。
- 所得税の確定申告をするための書籍代は経費に計上できますか?
- 個人事業主の事業に必要な書籍代なので、経費に計上できます。
ただし、簿記3級などの資格取得のための書籍代は経費に計上しづらいです。
確定申告書を作成するために必となる仕訳を勉強するために簿記3級の書籍を購入するならば、事業に必要となる書籍代に該当しそうですが、通常、資格を取得するための書籍代と考えられるため、事業に必要がないと判断され、経費に計上するのは難しいでしょう。
新聞代・書籍代の勘定科目と消費税について
新聞代・書籍代の仕訳を行う場合は、新聞図書費という勘定科目で経費に計上できます。
最近は日経電子版のような電子で提供される新聞や書籍もありますが、通信費の勘定科目ではなく、新聞図書費の勘定科目で経費に計上してください。
借方
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金額
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貸方
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金額
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新聞図書費
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1万円
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現金
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1万円
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新聞代や書籍代に関する消費税は、課税仕入(消費税がかかる取引)に該当し、基本的には、消費税率は10%になります。
ただし、週2回以上発行されている「紙」媒体の新聞に関しては、軽減税率の対象になり、消費税率は8%になります。
会計ソフト(弥生会計やfreeeなど)では、あらかじめ新聞図書費の勘定科目に消費税区分が設定されています。
ただし、新聞図書費の消費税区分は課税仕入10%で設定されているので、週2回以上発行されている紙媒体の新聞代を経費に計上する場合は、課税仕入8%に変更する必要がありますので注意してください。