生命保険には様々な形態・種類のものがあり、個々人で加入すべき生命保険は異なります。
また、生命保険に加入することの副次的なメリットとして、支払った生命保険料の一部を損金(法人)又は所得控除(個人事業主)にできることが挙げられます。
今回は生命保険の種類と損金(法人)・所得控除(個人事業主)を通しての節税効果について考えていきます。
生命保険の種類
保険会社が販売している生命保険は、以下の3つの生命保険をもとにしています。
- 定期保険グループ
- 医療保険グループ
- その他の保険グループ
定期保険グループ
定期保険とは、保険期間に一定の期限があり、被保険者(保険の対象者)が保険期間中に死亡した場合に死亡保険金が支払われる保険です。
具縦的な定期保険の種類には①長期定期保険、②逓増定期保険、③低解約返戻金定期保険、④無解約返戻金型定期保険があります。
長期定期保険は、保険期間が非常に長期に渡る定期保険(100歳ぐらいまで保険期間が続きます)になります。
逓増定期保険(ていぞうていきほけん)は、保険期間の経過により保険金額が増加する定期保険になります。
低解約返戻金型定期保険(ていかいやくへんれいきんがたていきほけん)は、保険期間中に解約返戻金が低い期間が設定されるため保険料が割安になる定期保険です。
無解約返戻金型定期保険は、解約返戻金がないため、保険料が割安になる定期保険です。
なお、定期保険に色々な種類があるのは、少しでも被保険者が支払う生命保険料を損金(経費)に出来るようにしようという生命保険会社の努力の結果になります。
医療保険グループ
医療保険グループには、①医療保険、②がん保険、③長期障害保険、④特定疾病補償保険があります。
医療保険は、被保険者(保険の対象者)が病気やケガで入院したり、手術を受けたときに給付金が支払われる保険です。
がん保険は、被保険者(保険の対象者)ががんで入院したり、手術を受けたときに給付金が支払われる保険です。
なお、がん保険は、ひと昔前までは、保険料の全額を損金(経費)にできる保険でしたが、現在では税法が変更されて損金(経費)に算入できる保険料の金額は制限されています。
長期障害保険は、被保険者(保険の対象者)が不慮の事故で障害を負ったり、感染症等で死亡した場合に災害死亡保険金が支払われる保険です。
特定疾病補償保険は、被保険者(保険の対象者)ががん、急性心筋梗塞、脳卒中等の特定疾病になったときに死亡保険金と同額の特定疾病保険金が「生前に」支払われる保険です。
その他生命保険グループ
その他生命保険グループには、①終身保険、②収入保障保険、③養老保険があります。
終身保険は、保険期間が「一生」になり、被保険者(保険の対象者)が保険期間中に死亡した場合に死亡保険金が支払われる保険です。
収入保障保険は、保険期間には期限がありますが、被保険者(保険の対象者)が保険期間中に死亡した場合、遺族に年金が支払われる保険です。
養老保険は、保険期間に期限があり、被保険者(保険の対象者)が保険期間中に死亡した場合には、死亡保険金が支払われ、保険期間の最後まで生きていたときは、満期保険金が支払われる保険です。
損金・経費を通しての節税効果を考えてみよう
ここからは、保険会社に支払った生命保険料が①法人の損金や②個人事業主の経費となり、どれ位の節税効果が期待できるかを見ていきましょう。
法人経営者に対する生命保険料について
法人経営者に対する生命保険料の支払額は、一部が法人の損金(経費)になります。
過去には、支払保険料の全額を損金(経費)にできる生命保険もありましたが、2019年6月の法人保険基本通達の改正により廃止されています。
現在では、解約返戻率(支払額に対する保険を解約した時に戻ってくるお金の割合のこと)、保険期間により損金(経費)にできる割合は異なりますが、支払保険料の40%が損金(経費)にできる上限額になります。
ただし、年間の保険料が30万円以下と少額な場合には、現在でも全額を損金(経費)に算入できます。
個人事業主に対する生命保険料について
個人事業主を被保険者(保険の対象者)とする生命保険の保険料はあくまでもプライベートで入る保険として取り扱われるため、事業経費にできません。
ただし、個人事業主が従業員を雇っている場合に、その従業員を被保険者(保険の対象者)とした生命保険に加入したときは事業経費の対象になる可能性があります。
よって、個人事業主を被保険者(保険の対象者)とする生命保険の保険料を支払う場合には、生命保険料控除として所得控除(最大4万円)を受けることになります。
節税効果まとめ
最後に生命保険料支払額の節税効果のまとめをしておきましょう。
法人経営者を被保険者(保険の対象者)とする生命保険の保険料は40%までは損金(経費)に算入できます。
現在の法人税率は30%程度なので、年間生命保険料額×30%だけ税金の支払額が少なくなり、節税効果が見込めます。
個人事業主を被保険者(保険の対象者)とする生命保険の保険料は事業所得・不動産所得の必要経費にはできませんが、所得控除の対象になりました。
所得控除の対象になるので、所得(稼ぎ)によりまちまちですが、平均帯の所得ならば、4万円×20%~30%=8,000円~12,000円の節税効果が見込めます。