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小規模宅地等の特例は被相続人の土地だけが対象?見落としがちな”生計一親族の敷地”も対象になる理由

2026 5/17
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相続-小規模宅地等
2026年5月17日
小規模宅地等の特例の対象となる特定居住用宅地等の2つの形態について!

「小規模宅地等の特例は、亡くなった人が住んでいた土地にしか使えない」——そう思っていませんか?実は、亡くなった人(被相続人)と生計を一にしていた親族が居住していた敷地も同じ特例の対象になります。この見落としは、相続税の申告で大きな損失につながりかねません。

本記事では、特定居住用宅地等の「2つの形態」に焦点を当て、適用要件・具体例・節税効果をわかりやすく解説します。

目次

小規模宅地等の特例とは?

小規模宅地等の特例とは、被相続人(亡くなった方)が所有していた土地を親族が相続した場合に、相続税評価額を最大80%減額できる制度です(租税特別措置法第69条の4)。都市部では土地の評価額が高くなりやすく、この特例の有無で相続税額が大きく変わります。

対象となる宅地は利用状況によって以下の4区分に分けられます。なお、特例の対象はあくまで「土地(敷地)」であり、建物は対象外である点に注意が必要です。

区分内容限度面積減額割合
①特定居住用宅地等居住用の敷地330㎡80%
②特定事業用宅地等個人事業の敷地400㎡80%
③特定同族会社事業用宅地等同族会社の事業敷地400㎡80%
④貸付事業用宅地等賃貸・駐車場などの敷地200㎡50%
▲ 国税庁タックスアンサー No.4124 をもとに作成

具体的な節税効果のイメージ

たとえば東京都内で評価額が5,000万円・200㎡の自宅敷地を特定居住用宅地等として相続した場合、以下のような効果があります。

特例なし特例あり(80%減)
評価額5,000万円1,000万円
減額分—▲4,000万円
▲ 上記はあくまでも概算のイメージです

特定居住用宅地等の2つの形態

特定居住用宅地等には、次の2つの形態があります。

  • 【形態①】被相続人が居住の用に供していた敷地
  • 【形態②】被相続人と生計を一にしていた親族が居住の用に供していた敷地

形態②は見落とされがちですが、たとえば転勤先で両親が亡くなり、自宅に残った子供が住んでいた場合がこれに該当します。被相続人が住んでいた土地だけでなく、扶養していた親族の居住敷地も対象になる点が大きな特徴です。

【形態①】被相続人が居住していた敷地の適用要件

誰が相続するかによって、適用できるかどうかの要件が異なります。

取得者主な要件
配偶者要件なし(無条件で適用可)
同居親族相続税の申告期限まで、その宅地に住み続け、かつ所有し続けること
家なき子(別居親族)下記「家なき子特例」の要件をすべて満たすこと

配偶者が相続する場合

配偶者は、敷地の名義が誰であるかにかかわらず、無条件で80%の減額が認められます。相続税法上、夫婦が共同で財産を形成してきたものと考えるためです。

同居親族が相続する場合

被相続人と同居していた親族が宅地を取得した場合、以下の2点を満たす必要があります。

  • 相続税の申告期限(相続開始から10か月)まで、その宅地を引き続き所有していること
  • 相続税の申告期限まで、その宅地に引き続き居住していること

家なき子(別居親族)が相続する場合

被相続人と別居していた親族でも、以下の要件をすべて満たせば「家なき子特例」として80%減額が適用されます(平成30年税制改正により要件が厳格化されています)。

#要件
①被相続人に配偶者がおらず、かつ同居していた相続人もいないこと
②相続開始前3年以内に、自己・配偶者・3親等内の親族・特別関係法人が所有する家屋に居住していないこと
③相続開始時に居住している家屋を、過去に自分が一度も所有していないこと
④相続開始から申告期限(10か月)まで、宅地を所有し続けること
⑤日本国内に住所があるか、日本国籍を有すること
▲ 国税庁 No.4124 および平成30年度税制改正をもとに作成

注意:家なき子特例は「二次相続(配偶者がすでに他界している場合の相続)」でのみ活用できるケースが多く、要件が非常に厳しい制度です。適用の可否は専門家への確認を強くおすすめします。

【形態②】生計一親族が居住していた敷地の適用要件

「生計を一にしていた親族(生計一親族)」が居住していた敷地も特例の対象です。ここでいう「生計を一にする」とは、必ずしも同居を意味するわけではなく、経済的な結びつきの実態で判断されます(国税庁通達)。

たとえば、親が東京に住んでいて、仕送りを受けている子供が大阪の親所有のマンションに住んでいる場合、その子供は「生計一親族」に該当します。

取得者主な要件
配偶者要件なし(無条件で適用可)
生計一親族本人申告期限まで、その宅地に引き続き居住し、かつ所有し続けること

見落としやすいポイント:生計一親族が住んでいた土地は、その土地に住んでいない配偶者が相続しても特例が適用されます。「その土地に住んでいない人が相続するのに適用できるの?」と驚かれる方も多い、盲点になりやすい論点です。

2つの形態を比較する

形態①:被相続人の居住敷地形態②:生計一親族の居住敷地
対象となる土地被相続人が住んでいた敷地生計一親族が住んでいた敷地
配偶者が取得○(無条件)○(無条件)
同居親族が取得○(継続居住・所有が必要)△(生計一親族本人のみ)
別居親族が取得△(家なき子特例の要件を満たす場合のみ)×(原則不可)
適用実績多い少ない(ピンポイントで活用)
生前対策への活用有効有効(節税対策で特に有用)

老人ホーム入居中に亡くなった場合は?

被相続人が亡くなる直前に老人ホーム等へ入居していたため、自宅が空き家になっていたケースでも、以下の要件をすべて満たせば「被相続人が居住していた」として特例を適用できます。

  • 被相続人が要介護認定または要支援認定を受けていたこと
  • 都道府県への届出がある適法な老人ホーム等に入居していたこと
  • 老人ホーム入居後、自宅を他人に貸したり、別の家族が住んだりしていないこと

申告の際には老人ホームの入所証明書や介護認定の書類などを添付する必要があります(国税庁 No.3307 参照)。

申告時の注意点

  • 申告期限前の売却は原則NG:申告期限(相続開始から10か月)より前に土地を売却すると、原則として特例が適用できなくなります。ただし、配偶者が取得した特定居住用宅地等については、売却しても特例が適用される場合があります。
  • 相続税が0円でも申告は必要:特例を適用した結果、相続税がゼロになった場合でも、相続税の申告書の提出は必須です。
  • 相続時精算課税制度で取得した宅地は対象外:贈与により取得した宅地等(相続時精算課税制度を含む)には特例が適用されません。

まとめ

小規模宅地等の特例における特定居住用宅地等には、①被相続人が居住していた敷地と、②生計一親族が居住していた敷地の2つの形態があります。②は適用実績こそ少ないものの、ピンポイントで該当する事例があるほか、生前の相続税対策として活用できる場面もあるため、ぜひ頭に入れておきましょう。

  • 特定居住用宅地等は「被相続人の居住敷地」と「生計一親族の居住敷地」の2形態がある
  • 配偶者が相続する場合は両形態とも無条件で80%減額が適用される
  • 配偶者以外の場合、形態①では同居・家なき子要件、形態②では生計一親族本人が取得することが必要
  • 特例は「土地のみ」が対象で、建物は対象外
  • 適用には申告書への記載と所定の添付書類の提出が必要
  • 判断が難しいケースは税理士への相談を強くおすすめします

参考:国税庁 タックスアンサー No.4124「小規模宅地等の特例」

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