納税準備預金は、税金を納付するための専用の預金のことです。
税金の延滞を防止する目的のために利用され、預金の受取利息に対して所得税が非課税になるなどのメリットもあります。
今回は、納税準備預金とはなにか、納税準備預金のメリット・デメリットについて確認していきましょう。
納税準備預金とは
納税準備預金とは、銀行、信用金庫、信用組合などの金融機関で口座開設できる預金で、租税の納付を目的とした預金です。
納税準備預金は法人だけでなく、個人事業主も口座を開設することができます。
納税準備資金の預け入れには特段の制限はありませんが、納税準備預金の引き出しは、納税の場合に限られます。
つまり、納税目的かどうかを金融機関が確認した上で、引き出しが行われるため、納税者の側で納付書や納税告知書などの証拠書類の準備が必要になります。
なお、納税準備預金を活用する際には、銀行の預金口座から納税額を振り替える振替納税を選択しましょう。
振替納税を選択しておけば、納税準備預金口座から自動的にお金が引き落とされるため、納税準備預金口座内で納税が完結し、納税資金のコントロールが非常に楽になります。
ただし、振替日に納税額を支払う預金残高が残っていない場合、税金が未納のなり、延滞税が発生してしまうため、納税準備預金の口座残高には注意する必要があります。
納税準備預金のメリット
納税準備預金を利用するメリットは以下の4つです。
- 受取利息に対する所得税が非課税になる
- 普通預金より金利が高くなる
- 預金保険制度の対象になる
- 納税資金を別建てで管理できる
受取利息に対する所得税が非課税になる
納税準備預金も普通預金と同様に残高に応じて利息を受け取ることが出来ます。
普通預金の場合、個人事業主で20.315%(所得税15.315%、住民税5%の合計)、法人で15.315%(所得税のみで15.315%)の税金の源泉徴収が行われた後、利用者の預金口座に受取利息が振り込まれることになります。
一方、納税準備預金の場合、上記の所得税や住民税が非課税になります。
つまり、普通預金にお金を預けておくよりも、納税準備預金にお金を預けておいた方が、所得税や住民税の税率分だけお得になります。
普通預金より金利が高くなる
納税準備預金の金利は、金融機関によって異なります。
納税準備預金の金利は、一般的に普通預金の金利より高く設定されていることが多いです。
ただし、金融機関ごとに金利の考え方は異なりますので、普通預金の金利と同じ金融機関もあります。
預金保険制度の対象になる
納税準備預金は預金保険制度の対象になります。
預金保険制度とは、万が一金融機関が破綻した時に、預金者一人あたり元本1,000万円+その利息部分までを保護してくれる制度です。
納税資金を別建てで管理できる
潤沢な資金がある個人事業主や法人以外の場合、日々の資金繰りに追われることが多く、事前の納税資金の準備には頭が回らないことが多いです。
その結果、納税期限ぎりぎりになり、資金集めに苦労している場合も多く見受けられます。
納税準備預金を開設し、事前に資金の一部を納税準備預金の口座で別建て管理しておけば、資金繰りの調整失敗を防ぐことが出来ます。
納税準備預金のデメリット
納税準備預金を利用するデメリットは以下の2つです。
- 「法人」の受取利息に関しては、所得税非課税のメリットはない
- 事業資金が拘束される
「法人」の受取利息に関しては、所得税非課税のメリットはない
法人の「普通預金」口座の受取利息は、所得税の源泉徴収(15.315%)が行われます。
しかし、法人に課せられる税金は所得税ではなく、法人税です。
よって、法人税の申告書作成時に所得税の源泉徴収額が精算され、最終的に所得税は非課税になります。
つまり、法人の受取利息に関しては、普通預金口座でも所得税はかかりません。
法人の受取利息に関しては、納税準備預金を利用してもしなくても、収益として法人税が課税されることになり、所得税非課税のメリットはないことになります。
事業資金が拘束される
納税準備預金は、原則として税金の納付以外での引き出しはできません。
つまり、預入金額が多くなればなるほど、事業資金が拘束されることになります。
通常は、事業資金が潤沢なほど、利益を生むことができますので、納税準備資金に預け入れる金額の調整が必要になります。