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経営者に万一のことが起きたら会社はどうなる?事業保障資金の仕組みと準備方法

2026 5/16
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生命保険
2026年5月16日
事業保障資金を貯えるために生命保険を活用しよう!

「もし自分に何かあったとき、この会社はどうなるんだろう……」

多くの中小企業の経営者が、ふとした瞬間にそう感じたことがあるのではないでしょうか。

中小企業では、経営者自身が営業・資金調達・採用・戦略立案のすべてを担っていることがほとんどです。そのため、経営者に不慮の事故・急病が起きると、会社は一瞬にして機能不全に陥るリスクがあります。

この記事では、そのリスクに備える「事業保障資金」について、必要額の計算方法・生命保険を使った準備の手順・税務上の注意点まで、具体的な数字を交えて解説します。

この記事を読めばわかること

  • 事業保障資金が必要な理由(リスクの具体的なイメージ)
  • 必要額の計算式と具体的な試算例
  • 生命保険で準備する方法と損金算入ルール(最新税制)
  • 保険加入時に見落としがちな注意点3つ
目次

事業保障資金とは何か

事業保障資金とは、経営者に万一のことがあった場合でも会社が事業を継続できるよう、あらかじめ準備しておく資金のことです。

大企業であれば、経営者が不在になっても組織や幹部が機能を維持できます。しかし中小企業では、経営者一人が次のような業務をすべて担っているケースが大半です。

  • 経営戦略の立案・意思決定
  • 主要顧客・取引先との関係維持
  • 金融機関との融資交渉
  • 人材採用・社内マネジメント

その経営者が突然いなくなれば、後継者は事業の立て直しを迫られながら同時に資金繰りとも戦わなければなりません。その間、会社の業績は不安定になり、最悪の場合は資金が枯渇して廃業に追い込まれることもあります。

こうした最悪の事態を防ぐために、「事前に」まとまった資金を準備しておくのが事業保障資金の考え方です。

経営者が不在になると何が起きるか――リスクを具体的に整理する

事業保障資金の必要性をより実感していただくため、経営者が急逝した場合に法人が直面する問題を整理します。

発生するリスク具体的な内容
① 運転資金の枯渇仕入れ・外注費の支払いが滞り、取引先との信頼が損なわれる
② 従業員給与の未払い資金不足が続くと優秀な人材が離職し、事業継続が困難に
③ 借入金の一括返済要求金融機関が経営不安定と判断し、期限前返済を求める場合がある
④ 納税資金の不足法人税・消費税の支払い遅延はペナルティや信用低下を招く
⑤ 遺族への補償不足経営者の遺族への死亡退職金が払えず、家族が生活に困窮する

これらのリスクはすべて「お金があれば時間が買える」問題です。後継者が経営を立て直すための「つなぎ資金」さえあれば、多くの問題は解決できます。それが事業保障資金の役割です。

事業保障資金の必要額の計算方法

必要な事業保障資金の額は、会社の規模・財務状況によって異なりますが、目安となる計算式は以下の通りです。

事業保障資金の必要額(目安)=
① 法人の借入金残高 + ② 月額固定費 × 6か月分 + ③ 経営者の死亡退職金

各項目の内容と根拠は次の通りです。

構成要素内容「6か月」の根拠
① 借入金残高金融機関への残債の全額。経営者死亡後に保証債務が問題になるケースも—
② 月額固定費×6か月人件費・家賃・リース料など、売上ゼロでも発生するコスト後継者が経営を安定させ、取引先・金融機関との関係を再構築するための目安期間
③ 死亡退職金遺族への支給額。生活保障と相続対策を兼ねる—

【具体例】必要額を試算してみる

設定条件

  • 法人の銀行借入残高:2,000万円
  • 月額固定費(人件費・家賃等):200万円
  • 死亡退職金の想定額:2,800万円

2,000万円 + 200万円 × 6か月 + 2,800万円 = 必要額:6,000万円

この例では、法人は6,000万円の事業保障資金を確保する必要があります。現時点でこれだけの手元資金がない場合、生命保険による準備が現実的な選択肢となります。

業種によっては「6か月」では足りないことも

製造業・建設業など、受注から入金までのサイクルが長い業種では、事業立て直しに1年以上かかるケースもあります。業種特性を踏まえ、必要に応じて12か月分で試算することも検討してください。

生命保険を使って事業保障資金を準備する方法

事業保障資金の準備方法は、大きく「①自社貯蓄」と「②生命保険の活用」の2つです。

準備方法メリットデメリット・注意点
① 自社貯蓄いつでも自由に使える。利息コストがない必要額(数千万円規模)の積み立てに長年かかる。積み立て途中で万一が起きると保障が間に合わない
② 生命保険加入初日から保障が確保できる。保険料の一部が損金算入可能毎年の保険料コストが発生する。解約返戻金は益金算入が必要

生命保険の最大の利点は、保険料を少額ずつ支払うだけで、万一の際には即座に数千万円の保険金が法人に入金される点です。自社貯蓄では20〜30年かかる資金も、生命保険なら翌日から確保できます。

保険料の損金算入ルール(2019年改正・最新版)

法人が生命保険料を支払う場合、保険の種類と最高解約返戻率に応じて、保険料の一部または全額を損金(≒経費)に算入できます。

2019年(令和元年)7月の税制改正以降、国税庁「No.5364 定期保険及び第三分野保険の保険料の取扱い」に基づき、損金算入割合は以下のルールが適用されています(2019年7月8日以後の契約)。

最高解約返戻率損金算入割合
(保険期間前半)
資産計上割合
50%以下(掛け捨て型)全額損金0%
50%超〜70%以下60%損金40%資産計上
70%超〜85%以下40%損金60%資産計上
85%超(高返戻率型)最大10%損金90%資産計上

なお、最高解約返戻率70%以下かつ年換算保険料30万円以下(被保険者1人あたり)の場合は、全額損金算入できる特例があります(国税庁通達 法基通9-3-5の2 注3)。

「損金算入=節税」ではない点に注意

保険料を損金算入しても、将来的に保険金や解約返戻金を受け取った際には益金(収益)として課税されます。つまり、税金の支払いタイミングが先送りされる「課税の繰り延べ」にすぎず、税負担が永久に消えるわけではありません(参考:エヌエヌ生命「役員退職金向け法人契約の生命保険の税務」)。
生命保険はあくまで「事業保障」が主目的であることを意識し、過度な節税目的での加入は避けましょう。

生命保険を活用する際の注意点3つ

① 保険料は現在のキャッシュフローで無理なく払える額に設定する

事業保障資金が6,000万円必要な場合、掛け捨て型の定期保険の保険料の目安は年間30〜40万円程度です(被保険者の年齢・健康状態・保険会社によって異なります)。

事業保障資金はあくまで「将来の」事業継続のための備えです。「将来」のために「現在」のキャッシュフローを圧迫する保険料を払い続けることは本末転倒です。まず必要額を試算した上で、現実的に毎年払い続けられる保険料の範囲内で設計しましょう。

② 契約期間は「経営者の退任予定時期」に合わせる

事業保障資金が必要なのは、現経営者が退任するまでの期間です。後継者に経営が完全に引き継がれれば、保障の必要性は大幅に低下します。

「65歳で引退予定」として設計した保険でも、引退時期が早まれば保険期間の見直しが必要です。逆に引退が遅れた場合は保障が切れないよう更新・延長を検討します。経営者の退任時期が変わったタイミングを見逃さずに、保険の見直しを行いましょう。

③ 事業規模の変化に応じて保険金額を定期的に見直す

事業保障資金の必要額は一定ではなく、会社の成長・縮小とともに変化します。以下のような状況変化があれば、保険金額の見直しが必要です。

状況の変化事業保障資金への影響対応
事業拡大で月次固定費が増加必要額が増加保険金額を増額して不足をカバー
借入金の返済が進んだ必要額が減少保険金額を減額してコスト削減
子どもが独立し遺族の生活費負担が減少死亡退職金の必要額が減少保険金額・契約内容の見直しを検討
新たに連帯保証をした借入が発生必要額が増加追加保険の加入を検討

毎年の見直しは不要ですが、決算のタイミング・大きな設備投資・借入の増減があったときに、必要額と保険金額が合致しているか確認する習慣を持つことをお勧めします。

まとめ:事業保障資金の準備は「気づいたときが最善のタイミング」

生命保険の保険料は、経営者の年齢が若いほど低く設定されます。つまり、事業保障資金の準備は早く始めるほど有利です。

まずは以下のステップで自社の状況を確認してみましょう。

事業保障資金を準備する3ステップ

  1. 必要額を試算する|借入金残高・月額固定費・死亡退職金の想定額を確認する
  2. 現状の内部留保と比較する|手元の流動資産で必要額をカバーできるか確認する
  3. 不足分を生命保険で補う|保険種類・保険料・損金算入割合を税理士・保険代理店に相談しながら設計する

保険の具体的な設計や経理処理については、顧問税理士または所轄税務署に相談することをお勧めします。

参考資料
・国税庁|No.5364 定期保険及び第三分野保険の保険料の取扱い(令和元年7月8日以後契約分)
・国税庁|法人税基本通達 第3節 保険料等(9-3-4〜9-3-8)

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