相続税の申告書の提出は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に行わなければなりません。
そして、遺産争いなどにより相続財産が未分割の場合でも上記の申告期限までに申告をしなければなりません。
相続財産が未分割であることを理由に相続税の申告期限が延びるということは絶対にありません。
そのため、相続税の申告期限までに遺産分割協議が不調に終わることが確定した場合、各相続人は民法に規定する相続分の割合に従って、遺産を取得したものとして相続税の計算をし、申告を行うことになります。
その際、①小規模宅地等の特例(敷地の評価減)や②配偶者の税額の軽減の特例(1億6,000万円まで)は適用できなくなるため納付する相続税額は一時的に多くなります。
未分割の場合、物納も認められなくなりますので、納税資金をきちんと用意しておく必要があります。
また、民法に規定する相続分の割合で相続税を申告した後に、相続財産の分割が行われ、その分割に基づき計算した相続税額と申告した相続税額とが異なるときは、実際に分割した相続財産の額に基づいて修正申告や更正の請求をすることができます。
なお、修正申告とは初めに申告した税額よりも実際の税額が多い場合にする申告のことであり、更正の請求とは、初めに申告した税額よりも実際の税額が少ない場合にする申告のことです。
ただし、修正申告の時効は5年なのに対して、更正の請求ができるのは、遺産分割のあったことを知った日の翌日から4か月以内となっていますので速やかに手続きを行うことを忘れないでください。
なお、修正申告又は更正の請求の時点において、未分割の申告時に適用できなかった、①小規模宅地等の特例や②配偶者の税額の軽減の特例(1億6,000万円まで)が初めて適用できるようになりますが、一部の例外を除き、相続税の申告期限から3年以内に遺産分割があった場合に限られますので注意が必要です。