小規模宅地等の特例と遺産分割の関係について!

被相続人(亡くなった人)の遺産を各相続人に分割することを遺産分割といいます。

つまり、被相続人が亡くなった場合、遺産は一旦相続人全員の共有状態になりますので、その遺産を各相続人に分割することを遺産分割といいます。

そして、遺産分割の結果を書面として残しておくために遺産分割協議書というものを作成します。

ただし、相続人が1人しかいない場合は、遺産の分割を行う必要はありませんので、当然、遺産分割協議書を作成する必要もありません

なお、相続人が1人しかいない場合は、相続税の申告書に遺産分割協議書を添付する必要がないだけでなく、他に相続人がいないことが戸籍謄本などで証明できれば、法務局で不動産移転の登記も行うことも出来ます

話を戻しますが、小規模宅地等の特例は、宅地等(土地や借地権など)が各相続人に分割されていること(つまり、遺産分割が済んでいること)が要件です。

これは、相続税の申告書に遺言書、遺産分割協議書、死因贈与契約書の写しを添付しなければならないことからも分かります。

なお、自筆証書遺言は遺言書の形式を満たしていないことがあり、その場合は遺言書としては認められませんが、捺印がない程度ならば、死因贈与契約書として認められる可能性があるので、相続税の申告には問題にならないこともあります。

以上の話しをまとめると、小規模宅地等の特例(敷地の評価減の特例)を相続時に適用したい場合、遺産分割協議が済んでいることが要件になるということです。

場合によっては、遺産分割で揉めてなかなか小規模宅地等の特例の適用まで辿りつかないこともありますが、必ずしも相続税の申告期限(相続開始10カ月後)までに小規模宅地等の特例を適用するか決めなくても大丈夫な場合があります

遺産分割で揉めるのはなかなか大変ですが、焦らず話し合いを進めた方が良い場合もあるので、小規模宅地等の特例の適用時期に引きずられ過ぎないように注意しましょう。