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個人事業主の青色申告とは?65万円控除のメリットと条件を税理士が解説

2026 6/02
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個人事業主の税金
2026年7月6日
個人事業主の青色申告のメリットと会計ソフトの利用について!

「青色申告は手続きが面倒そう」「白色申告のままでいいのでは」——個人事業主になったばかりの方ほど、そう感じて青色申告を後回しにしがちです。

しかし青色申告を選ばないままだと、本来受けられる最大65万円の所得控除や赤字の繰り越しといった節税のチャンスを、毎年まるごと逃してしまいます。

この記事では、不動産業を専門とする税理士が、青色申告のメリット・65万円控除を受ける条件・申請の手順・令和8年度改正の最新情報まで、税務がはじめての方にもわかるようにやさしく解説します。

目次

青色申告とは?6つのメリットと白色申告との違い

青色申告とは、正しい帳簿づけと引き換えに大きな節税の特典を受けられる申告制度です。

個人事業主が毎年行う確定申告(=1年間の所得と税額を自分で計算して税務署に報告する手続き)には、青色申告と白色申告の2種類があります。

両者の最大の違いは「節税の特典があるかどうか」です。

青色申告は、複式簿記(=お金の動きを「原因」と「結果」の両面から記録する正式な帳簿のつけ方)で記帳する手間がかかるぶん、白色申告にはない特典が用意されています。

項目青色申告白色申告
特別控除最大65万円なし
記帳方法複式簿記(原則)簡易な記帳でよい
事前の申請必要(承認申請書)不要
赤字の繰り越し3年間できる原則できない

青色申告ができるのは、事業所得・不動産所得・山林所得のある方です(国税庁「No.2070 青色申告制度」)。

ここまでが制度の全体像です。

次は、その特典の中身を具体的に見ていきます。

青色申告には、節税に直結するメリットが大きく6つあります。

青色申告の主なメリット

  • 青色申告特別控除:所得から最大65万円を差し引ける
  • 青色事業専従者給与:家族へ払う給与を全額経費にできる
  • 純損失の繰越し:赤字を3年間繰り越せる
  • 純損失の繰戻し:前年の黒字と相殺して税金の還付を受けられる
  • 貸倒引当金:回収できないかもしれない売掛金を先に経費にできる
  • 少額減価償却資産の特例:40万円未満の備品を一括で経費にできる

このうち、ほとんどの個人事業主にとって効果が大きいのが1つめの特別控除です。

次章でくわしく見ていきます。

最大のメリット「青色申告特別控除」65万円・55万円・10万円の違い

青色申告で最も効果が大きいのは、所得から最大65万円を差し引ける青色申告特別控除です。

特別控除には65万円・55万円・10万円の3段階があり、記帳のレベルと申告方法によって受けられる金額が変わります。

下の表で自分がどれに当てはまるか確認しましょう。

控除額記帳方法申告・保存方法向いている人
65万円複式簿記e-Taxで電子申告、または優良な電子帳簿の保存節税を最大化したい人
55万円複式簿記紙で申告(電子要件なし)まだ電子化していない人
10万円簡易簿記(単式)制限なし取引が少ない・開業直後の人

ポイントは、65万円と55万円の差は「電子化しているかどうか」だけという点です。

同じ複式簿記でも、e-Taxで申告するだけで控除額が10万円増えます(国税庁「No.2072 青色申告特別控除」)。

【令和8年度改正に注意】紙申告の55万円控除は廃止予定

令和8年度税制改正大綱では、紙のまま申告して受けられる55万円控除は令和9年分から廃止される見込みです。複式簿記で正しく記帳していても、e-Taxによる電子申告(または優良な電子帳簿の保存)を行っていないと、控除額は10万円まで下がってしまいます。

紙で確定申告をしている方は、今のうちにe-Taxによる電子申告(または優良な電子帳簿の保存)への切り替えを進めておきましょう。会計ソフトはあくまで複式簿記の記帳を助ける道具で、e-Taxの利用とは別物です。クラウド版でも弥生会計などのデスクトップ版でも、作成した申告データはそのままe-Tax送信できます。早めに電子化しておけば、改正後も最大65万〜75万円の青色申告特別控除を確保できます。

65万円控除を受けるための4つの条件

65万円控除を受けるには、次の4つの条件をすべて満たす必要があります。

65万円控除の条件

  • 事業所得または事業的規模の不動産所得があること
  • 複式簿記で記帳していること
  • 貸借対照表(=財産の一覧表)と損益計算書(=もうけの計算書)を申告書に添付すること
  • 期限内(翌年3月15日まで)にe-Taxで申告、または優良な電子帳簿を保存すること

むずかしく見えますが、会計ソフトで複式簿記の記帳を行い、e-Taxで電子申告することで、これらの条件はまとめて満たせます。

青色申告でどれくらい節税できる?具体的な計算例

課税所得が同じでも、65万円控除を使うだけで税負担は年間で約19万円変わります。

課税所得(各種控除を引いたあとのもうけ)が400万円の個人事業主が、青色申告特別控除65万円を使うと、課税所得は335万円まで下がります。

所得税・住民税がどう変わるかを比べてみましょう。

項目白色(控除なし)青色(65万円控除)
課税所得400万円335万円
所得税約37.3万円約24.3万円
住民税(概算)約40.0万円約33.5万円
税負担の合計約77.3万円約57.8万円

差額は約19.5万円。

所得税は速算表(課税所得330万円超695万円以下は税率20%・控除額42万7,500円/国税庁「No.2260 所得税の税率」)で計算し、住民税は所得割10%の概算です(均等割・調整控除・復興特別所得税は考慮していません)。

不動産オーナーは「事業的規模」に注意

不動産所得で65万円・55万円控除を受けるには、「事業的規模」と認められることが前提です。

不動産所得(=家賃収入から経費を引いたもうけ)の場合、貸している部屋数が少ないと事業的規模とみなされず、特別控除は最大10万円にとどまります。

事業的規模の目安(5棟10室基準)

  • アパート・マンションなどはおおむね10室以上
  • 独立家屋(戸建て)の貸付はおおむね5棟以上
  • この水準に満たないと、原則として10万円控除のみ

くわしい判定は、国税庁「No.1373 事業としての不動産貸付けとそれ以外の不動産貸付けとの区分」によります。

青色申告のデメリットと対策

青色申告のデメリットは、複式簿記による記帳の手間と事前申請が必要なことですが、いずれも前準備で十分カバーできます。

青色申告の主なデメリット

  • 複式簿記での記帳が必要で、簿記の知識がないと手間取りやすい
  • 事前に青色申告承認申請書の提出が必要(期限を過ぎるとその年は白色)
  • 帳簿や書類を原則7年間保存する必要がある

このうち最も負担が大きいのは複式簿記による記帳ですが、これは次に紹介する会計ソフトで大きく軽減できます。

一方、申請書の提出は開業時の手続きで、書類の保存は日々の保存ルールで対応する点に注意しましょう。

青色申告に役立つ会計ソフトの選び方

会計ソフトは、青色申告の複式簿記とe-Tax申告をまとめて支える心強いツールです。

青色申告に欠かせないのが、会計ソフト(=銀行口座やクレジットカードの明細を取り込み、自動で帳簿を作るソフト)です。

代表的なものに弥生会計・マネーフォワード・freeeがあり、複式簿記の知識がなくても貸借対照表まで自動で作成できます。

クラウド版でもデスクトップ版でもe-Taxによる電子申告に対応しており、たとえば弥生会計のデスクトップ版からでも申告データをそのままe-Tax送信できます。

会計ソフトを選ぶ4つのポイント

  • 対応する控除額:e-Taxや電子帳簿保存法に対応し、65万円控除の要件を満たせるか
  • 記帳の自動化:銀行口座・クレジットカードの明細を自動で取り込めるか
  • 使う環境:常に最新版を使えるクラウド版か、手元で管理できるデスクトップ版か
  • 料金とサポート:年間費用と、確定申告期のサポート体制が見合うか

自分の事業規模・予算・使い方に合うものを選べば、記帳から申告までの負担を大きく減らせます。

令和8年度税制改正で青色申告特別控除は最大75万円へ

令和8年度の税制改正により、青色申告特別控除は令和9年分から最大75万円に引き上げられます。

2026年(令和8年)以降、青色申告まわりの制度は「電子化する人を手厚く、紙のままの人を厳しく」という方向で大きく変わります。

主な改正点は次のとおりです。

  • 特別控除が最大75万円へ(優良な電子帳簿の保存が条件)/令和9年分から
  • 紙申告の55万円控除は廃止され、紙のみの場合は一律10万円に縮小/令和9年分から
  • 10万円控除に制限(前々年の収入金額1,000万円超の人は対象外の方向)/令和9年分から
  • 基礎控除の引上げ

基礎控除の引上げは国税庁「令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について」で公表されています。

青色申告を始める3ステップと申請期限

青色申告は、「申請書の提出 → 複式簿記で記帳 → 期限内に申告」の3ステップで始められます。

STEP
青色申告承認申請書を提出する

納税地の税務署に提出します。期限は原則その年の3月15日まで。

1月16日以降に新規開業した場合は、開業日から2か月以内です。

STEP
複式簿記で日々記帳する

会計ソフト(クラウド版・デスクトップ版どちらでも可)を使えば、口座やカードの明細取込みで記帳はほぼ自動化できます。

STEP
翌年3月15日までにe-Taxで申告する

貸借対照表と損益計算書を添付し、e-Taxで電子申告すれば65万円控除の要件を満たせます。

青色申告承認申請書の提出を忘れるとその年は白色申告になってしまうため、開業したらまず承認申請書の提出を済ませておきましょう(国税庁「No.2070 青色申告制度」)。

まとめ:青色申告は個人事業主の最強の節税策

青色申告は、個人事業主が最初に取り組むべき最も効果的な節税策です。

この記事のポイント

  • 青色申告の最大のメリットは最大65万円の特別控除
  • 65万円控除には複式簿記+e-Tax(または優良な電子帳簿)が必要
  • 不動産所得は事業的規模(5棟10室)が控除の前提
  • 令和8年度改正で令和9年分から最大75万円へ
  • まずは青色申告承認申請書の提出から始める

青色申告は手続きこそ必要ですが、会計ソフトを活用すれば負担は最小限です。

早めに準備して、毎年の節税メリットを確実に受け取りましょう。

青色申告と白色申告はどちらが得ですか?

ほとんどの個人事業主は青色申告のほうが得です。

最大65万円の特別控除や赤字の3年繰り越しなど、白色申告にはない節税の特典を受けられるためです。

複式簿記の記帳という手間はありますが、会計ソフトでほぼ解消でき、節税メリットのほうが大きく上回ります。

65万円控除と55万円控除の違いは何ですか?

記帳方法(複式簿記)は同じで、違いは申告方法だけです。

e-Taxで電子申告するか優良な電子帳簿を保存すれば65万円、紙で申告すると55万円になります。

青色申告承認申請書の提出期限はいつですか?

原則として青色申告をしたい年の3月15日までです。

1月16日以降に新規開業した場合は、開業日から2か月以内に提出します。

不動産オーナーでも青色申告できますか?

できます。

ただし65万円・55万円控除を受けるには、貸付けが事業的規模(おおむねアパート10室以上、戸建て5棟以上)であることが前提です。

満たない場合は10万円控除になります。

令和8年度改正で青色申告はどう変わりますか?

令和9年分から特別控除が最大75万円に引き上げられる一方、紙申告の55万円控除は廃止される見込みです。

基礎控除の引上げは令和8年分から適用されます。

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