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個人事業主の経費と税金を税理士が解説|所得税・住民税・事業税の計算と節税

2026 6/05
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個人事業主の税金
2026年7月5日
個人事業主の税金と経費の関係

「この領収書、経費にしていいのかな?」「そもそも自分は税金をいくら払うんだろう?」——個人事業主になって最初にぶつかる不安の多くは、税金のことではないでしょうか。

でも、安心してください。

個人事業主の税金は、仕組みさえつかめば自分で見通しを立てられます。

所得をもとに計算される主な税金は、所得税・住民税・個人事業税の3つ。

いずれも「所得=売上−必要経費」を出発点に決まるため、経費を正しく計上するだけで税金は確実に軽くなります。

この記事では、不動産業を専門とする税理士が、各税金の計算方法と経費の関係、令和7年分から変わった基礎控除まで、初心者にもわかるようにやさしく解説します。

目次

個人事業主の税金は「所得」で決まる3種類が基本【まず全体像をつかむ】

個人事業主が納める税金のうち、所得をもとに計算される主なものは、所得税・住民税・個人事業税の3種類です。

それぞれ「どこに」「いつ」納めるかが異なります。

まずは下の表で全体像をつかみましょう。

税金課税するところ主な納付時期
所得税国(税務署)翌年2月16日〜3月15日に確定申告
住民税市区町村・都道府県6月以降に通知(年4回または一括)
個人事業税都道府県8月・11月の年2回

この3つに共通するのは、すべて「所得」を出発点に計算される点です。

まずは、税額の出発点となる「所得」の考え方から見ていきましょう。

税金は「所得(収入−必要経費)×税率」で決まる

所得税・住民税・個人事業税は、いずれも「所得=収入−必要経費」を出発点に計算されます。

専門用語が続くので、先に言葉の意味を整理します。

収入

1年間に得た売上の合計です。

必要経費(=事業のために使ったお金)

仕入れ・家賃・通信費など、売上を得るために直接かかった費用です。

所得

収入から必要経費を引いた「もうけ」です。

課税所得(=税金がかかる金額)

所得からさらに基礎控除などの所得控除を引いた、最終的に税率をかける金額です。

つまり、必要経費が増えれば所得が下がり、税金も下がります。

ただし経費にできるのは事業に関係する支出だけで、プライベートな出費は含められません。

では、この所得をもとに各税金がどう計算されるのか、税目ごとに確認します。

所得税の計算方法と税率【速算表で早わかり】

所得税は、課税所得に5%〜45%の累進税率をかけて計算します。

累進課税(=所得が多いほど税率が高くなる仕組み)のため、税率は7段階に分かれています。

下の速算表を使えば、かけ算と引き算だけで税額が求められます。

課税所得税率控除額
195万円以下5%0円
195万円超〜330万円以下10%9万7,500円
330万円超〜695万円以下20%42万7,500円
695万円超〜900万円以下23%63万6,000円
900万円超〜1,800万円以下33%153万6,000円
1,800万円超〜4,000万円以下40%279万6,000円
4,000万円超45%479万6,000円

たとえば課税所得が300万円なら、300万円×10%−9万7,500円=20万2,500円が所得税です。

さらに、この所得税に復興特別所得税(2.1%)が上乗せされ、令和19年分まで併せて納めます。

所得税が決まると、それに連動して住民税や個人事業税の金額も見えてきます。

住民税の計算方法と納める時期

住民税は、所得割(課税所得の約10%)と均等割(年5,000円程度)の合計で決まります。

所得割の10%は、内訳として市区町村民税6%と都道府県民税4%に分かれます。

均等割は自治体でほぼ共通の定額で、森林環境税1,000円を含めて年5,000円程度です。

手続きはシンプルで、所得税の確定申告をすれば住民税の申告は原則不要です。

申告内容が市区町村へ自動で連携されます。

注意:住民税は「前年の所得」にかかる

住民税は前年の所得をもとに後から課税されます。そのため、廃業や減収の翌年も負担が来る点に注意が必要です。納税資金を前もって取り分けておきましょう。

次は、個人事業主だけにかかる「個人事業税」を見ていきます。

個人事業税は事業主控除290万円がカギ

個人事業税は、所得から事業主控除290万円を引いた金額に3〜5%をかけて計算します。

課税されるのは、地方税法が定める法定業種(約70業種)に限られます。

多くの業種は第1種事業として税率5%が適用されます。

所得が400万円で税率5%の場合、(400万円−290万円)×5%=5万5,000円です。

所得が290万円以下なら個人事業税はかかりません。

納付は8月・11月の年2回です。

ここで見落としがちなのが、税金そのものが経費になるかどうかです。

同じ「税金」でも、経費にできるものとできないものがはっきり分かれます。

経費にできる税金(事業に関わる税金)

  • 個人事業税
  • 固定資産税(事業で使う土地・建物の分)
  • 自動車税・軽自動車税(事業で使う車の分)
  • 印紙税・登録免許税・不動産取得税 など

経費にできない税金(個人にかかる税金)

  • 所得税
  • 住民税
  • 相続税・贈与税
  • 加算税・延滞税などのペナルティ

実務メモ:個人事業税は「納めた年」の経費

個人事業税は、実際に納付した年の必要経費になります。たとえば令和7年分の所得に対する個人事業税を令和8年8月に納付した場合、その経費計上は令和8年分です。

ここまでが各税金の計算方法です。

続いて、近年の大きな変更点である基礎控除の引き上げを確認します。

【令和7年分〜】基礎控除の引き上げで何が変わった?

令和7年分から基礎控除が見直され、多くの人で48万円から58万円以上に引き上げられました。

基礎控除(=合計所得が一定以下なら誰でも引ける控除)は、これまで一律48万円でした。

令和7年度税制改正により、令和7年12月1日施行・令和7年分以後の所得税について、合計所得金額に応じた次の金額に変わりました。

合計所得金額基礎控除額(令和7・8年分)令和9年分以後
132万円以下95万円95万円
132万円超〜336万円以下88万円58万円
336万円超〜489万円以下68万円58万円
489万円超〜655万円以下63万円58万円
655万円超〜2,350万円以下58万円58万円

古い「48万円」で計算しないこと

132万円超〜655万円以下の上乗せ(88万・68万・63万円)は、原則として令和7年分・8年分の措置です。令和9年分以後は58万円に一本化されます。古い情報の48万円のまま計算しないよう注意してください。

本記事は令和8年(2026年)6月1日時点の法令に基づきます。

控除が増えれば課税所得は下がりますが、それ以上に効くのが「必要経費」と「青色申告特別控除」です。

必要経費を制する者が税金を制す【節税の基本】

個人事業主の節税は、必要経費を正しく・もれなく計上することが出発点です。

経費にできる主な支出

  • 事務所・店舗の家賃、水道光熱費
  • 仕入れ・外注費・通信費・消耗品費
  • 事業で使う車のガソリン代や減価償却費

自宅を事務所にしている場合は、家事按分(=自宅兼事務所なら、仕事で使った割合だけ経費にできる仕組み)で、家賃や電気代の一部を経費にできます。

経費にできない主な支出

  • 生活費・私的な買い物などプライベートな支出
  • 所得税・住民税そのもの
  • 事業と関係のない交際費

毎月こまめに記帳することも大切です。

期末前に利益を把握できて初めて、納税額の見通しと節税対策が立てられます。

経費に加えて、もう一段の節税効果が大きいのが「青色申告特別控除」です。

青色申告特別控除65万円で課税所得を圧縮する

青色申告を選べば、所得から最大65万円を差し引けます。

控除額は記帳方法などに応じて65万円・55万円・10万円の3段階です。

65万円の控除を受けるには、複式簿記での記帳に加えて、e-Taxでの申告または優良な電子帳簿保存が必要です。

申告までの流れは次の4ステップです。

STEP
開業届と青色申告承認申請書を出す

事業開始後、税務署へ「開業届」と「所得税の青色申告承認申請書」を提出します。

STEP
日々の取引を複式簿記で記帳する

売上・経費を会計ソフトなどで毎月記録します。

STEP
決算書を作成する

1年分をまとめ、貸借対照表と損益計算書を作ります。

STEP
e-Taxで期限内に確定申告する

翌年3月15日までにe-Taxで申告し、65万円控除を適用します。

ここまでの内容をふまえて、個人事業主からよく寄せられる質問を確認しておきましょう。

よくある質問(FAQ)

個人事業税はいつ・どうやって払いますか?

8月と11月の年2回、都道府県から届く納税通知書で納めます。

所得が290万円以下の場合は課税されません。

住民税の申告は別に必要ですか?

所得税の確定申告をすれば、住民税の申告は原則として不要です。

申告内容が市区町村へ連携されます。

払った税金は経費になりますか?

個人事業税は必要経費になります。

一方、所得税と住民税は経費にできません。

基礎控除は今いくらですか?

令和7年分以後は合計所得金額に応じて58万円〜95万円です。

多くの方は58万円で、所得が低い方ほど手厚く上乗せされます。

赤字でも確定申告した方がよいですか?

はい。青色申告なら赤字(純損失)を翌年以降3年間繰り越せるため、申告しておくと将来の節税につながります。

まとめ|個人事業主は「経費+控除」で税金を軽くできる

個人事業主の税金は、必要経費を正しく計上し、基礎控除や青色申告特別控除を使うことで、確実に軽くできます。

この記事の要点

  • 個人事業主の主な税金は所得税・住民税・個人事業税の3種類です。
  • 税額の大もとは「所得=収入−必要経費」。経費を正しく計上すれば税金は下がります。
  • 令和7年分から基礎控除が見直され、多くの人で48万円→58万円に引き上げられました。
  • 青色申告特別控除(最大65万円)を使えば課税所得をさらに圧縮できます。
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