公認会計士・税理士事務所を10年経営して、また、自分が実際に不動産業務に関わってきた知識や経験を活かして、「不動産業を営む小規模会社の経理・税務マニュアル」をまとめてみたいと思いました。
今回は、その第8回目で、小規模会社で必要になる仕訳と勘定科目についてまとめます。
今回の記事は、不動産業でなくても小規模会社(目安:従業員10名未満)であれば、どの会社でも関係してくる記事になります。
他業種の方も含めて小規模会社で必要になる仕訳と勘定科目について知りたい人はぜひご覧ください。
小規模会社で必要になる仕訳について
小規模会社では、日々の取引を仕訳の形に表すこと(記帳といいます)が経理・税務のメインの仕事になります。
小規模会社で絶対におさえておかなければならない仕訳は、以下の3つになります。
それぞれの仕訳については、第9回~11回で詳しく解説していきますので、今回は、「こんな仕訳があるんだな…」程度に見ておいてください。
- 売上高(益金)の仕訳
- 経費(損金)の仕訳
- 借入金の仕訳(融資実行時・月次返済時・繰上返済時)
会社ではこれ以外にも色々な仕訳が登場しますが、小規模会社に絞ると、上記3つ以外の仕訳は、この3つの仕訳をサポートするための調整仕訳になります。
なお、記帳された仕訳は、会計ソフト(弥生会計・Freee・マネーフォワード)で確認することが出来ます。
また、会計ソフトが使いにくい場合は、エクスポート機能を使い、エクセルなどで仕訳を確認することも出来ます。
小規模会社で必要になる勘定科目ついて
日々の取引を仕訳の形にするための前段階として、会計ソフト(弥生会計・Freee・マネーフォワード等)の初期設定(マスター設定)で勘定科目を登録する作業が必要になります。
といっても、会計ソフトにはあらかじめよく使う勘定科目が登録されているので、個々の会社で必要となる勘定科目を追加するだけです。
勘定科目とは、会社の取引内容を分かりやすく分類するために使用される簿記上の項目のことです。具体的な勘定科目の例として、売上高・交際費・減価償却費・普通預金・借入金などがあります。
経理・税務知識が乏しく、勘定科目の登録が難しいようであれば、慣れるまで一番初めに会計ソフトに登録されている勘定科目だけを利用してください。
ただし、初期の勘定科目だけでは、取引内容が不明確になる場合がありますので、慣れてきたら必要に応じて会社独自の勘定科目を作成してください。
なお、仕訳内容を正確に把握して、経理業務の効率化を図るために補助科目を追加することもお勧めです。
例えば、よく登場する銀行名・得意先名を補助科目に登録するだけでも経理業務は各段に効率化できます。
補助科目とは、勘定科目の下に紐づく文字通り「補助の」科目になります。例えば、普通預金の勘定科目の下に補助科目で三菱UFJ銀行、三井住友銀行と設定すれば、それぞれの銀行の残高を補助科目内で把握してくれるので、銀行通帳と突き合わせるのに便利になります。
まとめ
小規模会社で使用する勘定科目は、一般の事業会社に比べてかなり少なくなります。
また、使用する勘定科目名も、売上高・広告宣伝費・交際費等と基本的に会計ソフトに初期登録されている初歩的なものであり、一般常識から推測できるものが多いです。
よって、会計ソフト初期設定の勘定科目だけでもなんとか仕訳は出来てしまいますので、勘定科目の新規設定や補助科目の追加ができなくても、日常の経理・税務業務には大きな影響を与えることはありません。
ただし、経理・税務の作業効率を良くするためには、勘定科目の新規設定や補助科目の追加を行っていく方が良いと覚えておいてください。
なお、勘定科目を追加するようになると、使用しない勘定科目も出てきます。
何年かに一度必要な勘定科目の見直しをして、勘定科目の削減も行ってください(目安:7年間以上使っていない勘定科目は削除)。
また、少し話しは反れますが、経理担当者が変更になった場合は、仕訳の際に選択する勘定科目のミスが多くなりますので、必ず経理担当者の変更時に勘定科目の選択方法を前任者と後任者で引継ぎしてください。
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