税務調査を受ける際の経営者の心構え【経費編】
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  1. 税務調査を受ける際の経営者の心構えを知りたい人

少額経費が否認されたら諦めよう!

税務調査が入ると調査官はいろいろな質問をしてきます。

こちらが予期しているもの、場合によってはこちらが全く予期していないもの様々でしょう。

そこで、納税者側は一つずつ経費に計上した論拠を調査官に説明していくわけです。

例えば、事業用とプライベート用の両方で使用している電気代があって、税務調査官から「事業用に按分している割合が多いのでは?」と質問があった場合に「夜にしか電気をつけず、夜は仕事しかしないから電気代のほとんどが事業用です。」と言い訳をしたとします。

回答としては突っ込みどころ満載ですが、苦笑いのままそれ以上のことは聞かれず、調査官が受け流してくれることもあるでしょう。

仮に、電気代がひと月1万円で按分割合が20%違ったとしても、影響額はひと月2,000円。

年間にしても2.5万円程度です。

短い税務調査の時間でそこまできっちり指摘している時間はないため、税務調査官からすれば、時間を費やすのは惜しいところです。

逆にそこで、微妙な間違いを発見するために時間を費やしてくれたら納税者側にとってはラッキーでしょう。

事業をしていると判断次第では、税法上どうしてもグレーゾーンが出てきてしまいますが、そこを詳しく議論せずに時間切れで税務調査が終わるわけですから。

そう考えれば、仮に納税者側が正当な主張をしていると思っていた少額の経費が議論の結果、税務調査で否認されたとしてもある程度諦めがつくでしょう。

聞かれたことに誠実に答えることが大事

税務調査時に大切なことは、聞かれたことに対してちゃんと回答して、論拠の正当性を主張することです

なにも言わなかったり、間違っていることをすぐに認めてしまうようだと、税務調査官に「あ、今回の税務調査は間違えが多そうだからちゃんと見れば、結構追加で税金とれるな…」と思われてしまいます。

人間の気持ちは非常に大事で、「間違っているものが多いからちゃんと探そう」と思われるといつも以上に税務上の論点になる箇所が出てきてしまいます。

税法は全体を定めた法律なので、個別具体的な事例では必ずしも答えがないグレーゾーンもたくさん存在するわけですから、そのグレーゾーンを論点からできるだけ外してもらうためにも調査官に「この事業者はきちんと考えて経理処理をしているな」と思われた方が良い訳です

本丸は多額で税務上論点がある経費を否認されないこと

ここまでで、調査官にはある程度きちんと経理処理をしていて、ちゃんと議論に応じてくれる経営者だという認識を与えることができたでしょう。

しかし、ここからがキモになります。

税務上論点がある多額の経費の部分についての議論です。

納税者側にとって、ここは否認されるわけにはいかないところです。

例えば、法人の場合なら役員退職金、不動産賃貸業なら修繕費と固定資産の関係のところが税務論点がある多額の経費のところに該当します。

先程までの話とは金額規模が違い、否認されれば数百万円~数千万円の修正しなければならない話になってくる場合も多いでしょう。

役員退職金ならば、本当に役員が引退しているかの根拠書類を作成し、修繕費ならば工事報告書や見積もりを保管して税務調査に対する対策を練ることになるでしょう。

しかし、例えば、役員退職金の話にしても同族会社などでは、前任の社長はほぼ引退しているけど、なにかちょっと影響力が残っていて、税務上これを聞かれるとやだなと思う箇所はどうしても出てきてしまうでしょう。

そんな時に、少額の経費の議論で積み上げてきた、きちんと税務処理をしているという印象が役立つこともあります

なんにせよ、税務調査も人間が行う作業です。

主張するところは主張しつつ、引くところは引けば、悪い印象を与えず、全体としては一番良い結果になることが多いでしょう