予定納税
この記事の対象者
  • 前年度の所得税の納税額が15万円以上ある個人事業主
  • 予定納税に興味がある個人事業主
  • 予定納税を通して、少しでも節税を考えたい個人事業主

予定納税とは?

個人事業主が当期の所得税を15万円以上納税すると、翌年度から予定納税をしなければなりません。

予定納税とは、その年度に支払う所得税の納税額の決定前に、前年度の所得税の納税額をもとに計算された納税予定額を前払いする制度のことをいいます。

例えば、×2年3月15日までに確定申告書を提出し、納税すればよい所得の納税額を、×1年7月末と×1年11月末に×1年3月15日に納税した所得税を参考に予定納税します。

予定納税が必要と判断されれば、税務署から6月15日までに「予定納税額のご案内」が届きますので、個人事業主の側で税務署に連絡をいれる必要はありません

予定納税の納税額はいくらになるの?

当年度の所得税の納税額がまだ決まっていない6月中旬(期中)の時点で、「税務署にいくら予定納税するか決められるの?」とよく聞かれます。

当然決められません…

よって、前年度に支払った所得税の納税額をもとに、概算で計算された金額を予定納税として支払うことになります。

つまり、「突然の災害や大きな景気変動がない限り、所得税の納税額は毎年そんなに変わらないよね!」という税務署の判断がある訳です。

予定納税はいつ支払う?

予定納税は、当年度の7月末11月末まで前年度の所得税の納税額の3分の1ずつを前払いで支払うことになります。

例えば、前年度の×1年3月15日に確定申告をして、150万円の所得税を納税したとします。

この場合、当年度の×1年7月31日と×1年11月30日までに×2年3月15日の所得税の納税額の前払いとして、50万円ずつを予定納税することになります。

期末日後に予定納税の還付金が発生するとお得です!

予定納税は概算支払いため、実際の納税額と当然誤差が生じます

予定納税額が本来の納税額より少なければ、確定申告時に調整され、申告期限である3月15日までに差額を支払うことになります。

予定納税額が本来の納税額より大きければ、予定納税額に対する還付金が発生します

しかも、この還付金には利息がつきます還付加算金といいます)!

還付加算金の利率は以下のいずれか低い方が採用されますが、いずれにしても、銀行等の預金金利より非常に高い利率になるので、大変お得です。

  • 7.3%
  • 特例基準割合+1%(大体3%弱

ただし、還付加算金は所得税法上、「雑所得」になりますので、金額次第では、確定申告しなければなりませんので注意しましょう。

逆に、予定納税を遅延すれば延滞税が取られます!

所得税の予定納税は義務です。

「予定納税額のご案内」の通知が来たのに、支払いを忘れていた場合は延滞税が発生してしまいます。

延滞税の利率も最初の2か月間は還付加算金と同じ利率で3%弱ですが、2か月以上放置すると利率が9%強まで上がります。

事業が苦しくて、どうしても予定納税ができない場合、6月30日までに「減額承認申請書」を提出すれば、予定納税を納めなくてもよくなる可能性があります

なお、「手持ち現金を全部使ってしまったため、予定納税できないよ!」という理由では減額承認されないので、必ず納税資金を残しておいてください

予定納税の支払い方法

予定納税の支払い方法には次の3つがあります。

■ 直接納税する
■ 振替納税する
■ 電子納税する

直接納税する

金融機関や税務署に現金で納税する方法です。

最近では、金額次第ではコンビニ支払いもでき非常に便利です。

振替納税する

指定した金融機関の預金口座から予定納税額を振替で納付する方法です。

預貯金口座振替依頼書兼納付書送付依頼書を提出する必要がありますが、払い忘れもなく一番便利でお勧めです。

電子納税する

自宅から予定納税の納付手続きができる方法です。

最近は税務署から電子申告・電子納税を推奨されています。

世の中は、電子申告・電子納税の流れですが、個人事業主の場合、支払いは振替納税する方が手続きの手軽さ、ITセキュリティーを気にしなくても良い点を考慮し、ベターだと思います

納税準備預金口座を作れれば節税できる!

現状では振替納税が一番安全で便利だという話をしました。

さらに、少しでも節税したければ、納税準備預金口座を銀行で開設するのが良いでしょう

納税準備預金口座は納税のためだけに使用される口座で、税金の支払いのための金額をプールしやすく、なにより納税預金口座の受取利息には源泉所得税(20%強)が課税されないというメリットがあります。

また、銀行によっては金利を優遇してくれるところもあります

予定納税を忘れないためにも、また納税の手間を減らし、さらにちょっとした節税にもなるため、納税準備預金口座の開設を一度検討してみるのもいいかもしれませんね。