- 税理士以外にも税務相談ができることを知らない個人事業主や中小企業の経営者
- 税理士と各納税先への税務相談のメリットを知りたい人
- 個人事業主や中小企業で税務相談先の使い分け方法を知りたい人
各納税地が税務相談に応じてくれる
普段、何気なく税金と呼ばれているものですが、納税先の違いにより、国に納める国税と都道府県・市町村に納める地方税があります。
また、地方税は、更に都道府県に納める都道府県税と市町村に納める市町村税に分かれます。
そして、税務相談と言えば、税理士への相談が一般的ですが、実は各納税先でも税務相談に応じてくれます。
税理士への税務相談は基本的に有料ですが、各納税先への税務相談は無料ですので、積極的に各納税地で行われる税務相談も利用したいところです。
各納税地が対応する税金の種類とお問い合わせ先
ここでは、各納税地により対応する税金の窓口が異なってくるので、お問い合わせ先をまとめてみましょう。
なお、各納税地への税務相談は、電話相談と対面相談(予約必要)の両方ができますし、管轄が違う納税地に間違って電話してしまっても、電話番号を教えてくれるか、そのまま担当部署につないでくれるので、税務相談があれば、まずは電話してみてください。
国税について
会社の場合、法人税や消費税、個人事業主の場合、所得税や消費税を相談するためのお問い合わせ先を紹介します。
都道府県税について
会社の場合、法人住民税(都道府県民税部分)や法人事業税、個人事業主の場合、個人住民税(都道府県民税部分)や個人事業税の相談をするためのお問い合わせ先を紹介します。
なお、インターネットで情報を得たいときや電話や対面で相談がしたいときは、Google検索かYahoo検索で「○○県(あなたが事業を行っている県) 都道府県税 問い合わせ 法人又は個人(あなたの事業形態)」と検索すれば、検索のトップ画面にお問い合わせ先等が出てきます。
市町村税について
会社の場合、法人住民税(市町村税部分)、個人事業主の場合、個人住民税(市町村税部分)の相談をするためのお問い合わせ先を紹介します。
なお、インターネットで情報を得たいときや電話や対面で相談がしたいときは、Google検索かYahoo検索で「○○県(あなたが事業を行っている県) 市町村税 問い合わせ 法人又は個人(あなたの事業形態)」と検索すれば、検索のトップ画面にお問い合わせ先等が出てきます。
- インターネットで情報を得たいとき
各市町村のホームページに市町村税のページがあります。
例)埼玉県(法人市町村民税) - 電話又は対面での相談がしたいとき
最寄りの市町村(あなたの担当市町村をネットで調べてください)。
例)埼玉県(税の相談窓口)
納税地の税務相談先を知ることのメリット
納税地の税務相談先を知っていれば以下のようなメリットがあります。
- 無料で税務相談ができる
- 「簡単な」税務相談ならば、回答が早い
無料で税務相談ができる
個人事業主や中小企業では、日常業務が固定化されていない分、意外と経理処理に困る税務案件が発生しやすいです。
しかしながら、ちょっとした税務案件を税理士に相談しようとしても、有料になるため、相談先に困っていることも多いはずです。
そんなときに、個人事業主や中小企業の主な相談先として、各納税地の税務相談は、無料で行われるため非常に重宝されています。
「簡単な」税務相談ならば、回答が早い
個人事業主や中小企業からの税務相談の中には、「一般的な」税務に関する相談や「事務処理的な」税務に関する相談も多いです。
なお、「簡単な」、「一般的な」、「事務処理的な」というのは、納税地側から見ての判断であり、個人事業者や中小企業側からの判断ではありません。
つまり、一事業者(あなた自身やあなたの会社)にとっては、イレギュラーで難しい税務案件でも、他の個人事業主や中小企業で同様の事例が多く存在し、税務相談の多い案件ならば、納税地の税務相談先ではすでに調べがついているので、すぐに回答してくれます。
また、税務署などの納税地自身が税法に基づいて、提出を定めている書類などは、自分達で決めた提出書類を教えれば良いだけですので、すぐに回答してくれます。
税理士に税務相談をするメリット
当然ですが、税理士に対しても税務相談ができます。
各納税地に対する税務相談と比較するために、税理士に対する税務相談のメリットも見ておきましょう。
- 相談者の経営状況を理解した上で税務相談に応じてくれる
- どんな税務相談にも応じてくれる
相談者の経営状況を理解した上で税務相談に応じてくれる
税務相談は相談者(個人事業主や中小企業)からの相談を受けて、回答をすることになりますが、与えらえる情報により、適切な回答が異なる場合があります。
つまり、適切な税務回答にたどり着くためには、相談者(個人事業主や中小企業)からの十分な情報提供が求められています。
しかし、納税先に対する税務相談は、必ず、初対面の専門家との税務相談であり、しかも時間が限られています。
よって、その場で与えらえた情報が不十分であれば、それに基づく税務回答になるので、納税先に対する税務相談は、必ずしも適切な回答になるとは限りません。
逆に、税理士に対する税務相談であれば、普段の委託業務等を通じて、相談者の経営状況を理解していますので、その理解に基づいた税務相談に応じてくれます。
よって、事前に与えられている情報が多い分、適切な税務回答を得やすいことになります。
どんな税務相談にも応じてくれる
納税先に対する税務相談の場合、「あとは税理士さんと相談して決めてください!」という逃げの一手を言われることがあります。
つまり、相談者の都合に関係なく、相談を受けた先が話を終わらせられる権限を保有しているということです。
それに対して、税理士は有料で税務相談を受けていますので、基本的には回答をしないということはできません。
難しい質問でも、状況を把握した上で、税務相談に応じてくれる可能性が高いです。
誰に税務相談をするかの目安について
本当は顧問税理士を雇って税務相談は全て顧問税理士に丸投げにするのが、税務リスクを最も低く抑える上で有効でしょう。
しかし、個人事業主や中小企業の場合、状況に応じて税務相談先を分けた方が費用対効果的に良いです。
よって、個人事業主や中小企業の場合、「誰に」税務相談をするかの目安は非常に重要になります。
結論としては、それぞれの税務相談先のメリットから以下のように区別すると良いのではないでしょうか。
①他の事業者も相談していそうな税務相談
②税務上の事務処理に関わる税務相談
簡単に言えば、他にもたくさん相談者がいる事柄ということになり、インターネットの検索も多いはずです。
当然、検索が多い以上、インターネットでの回答も多いはずなので、まずは、インターネットで類似の税務相談を探してみてください(ただし、ネット情報の鵜吞みは禁物!)。
全く同じ税務相談がなくても、類似の税務相談に対する回答がインターネットで多ければ、各納税先への税務相談件数も多いでしょうから、各納税先に問い合わせると良いでしょう。
①相談者の個別事情が強い税務相談
②判断が分かれそうな税務相談
相談者の個別事情が強い税務相談や判断が分かれそうな税務相談については、インターネット検索をかけても、基本的に類似の税務相談に対する回答は少ないか見つからないはずです。
検索されにくかったり、本当の回答が分からなかったりで、単純に、回答を書きたい人が少ないからです。
こういう案件は、各納税先も明確な意見を述べてくれないので、税理士に対する税務相談案件になると考えられます。
まとめ
もし、あなたが個人事業主や中小企業の経営者ならば、まずは、各納税先が税務相談に応じてくれるという事実を把握してください。
そして、各納税先と税理士への相談のメリットをきちんと把握して、案件により税務相談の相手先を変えることができれば、税務費用を抑えつつ、有用な税務相談を受けることができるでしょう。