太陽熱吸収フィルムの取付費の税務処理について
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  1. 太陽熱吸収フィルムの取付費の税務上の処理方法を知りたい人

窓ガラスフィルムについては飛散防止フィルム・防犯フィルム・太陽熱吸収フィルム・目隠しフィルム・装飾フィルムなどいろいろなフィルムがあります。

その中でも太陽熱吸収フィルムについては、省エネ対策として最近取り付け工事を行う事業者の方も多いのではないでしょうか?

私のところでも、「太陽熱吸収フィルムの取付費を修繕費として経費に計上していいですか?」と最近立て続けに聞かれたので、今回は太陽熱吸収フィルムの取付費の税務上の取扱いについて見ていきましょう。

太陽熱吸収フィルムの考え方

太陽熱吸収フィルムを取り付けると太陽熱の遮断による室内の冷暖房効率の向上効果を新たに獲得できるので、建物に対する資本的支出として性質を持つことになります。

つまり、太陽熱吸収フィルムの取り付けは建物の価値を向上させるので、固定資産勘定に計上され、減価償却を通じて、徐々に経費に計上されていくと考えることができます。

しかし、太陽熱吸収フィルムの取り付けは同時に災害発生時のガラスの飛散防止という役割を果たします。

よって、従業員や近隣への被害を最小限に抑える働きがあるため、その取付費用を建物の維持管理費と考えることもできます。

つまり、耐用熱吸収フィルムの取り付けは建物の維持管理費として全額経費に計上できるとも考えられます。

資本的支出にも経費にもあたる場合どう考えるか?

まず、太陽熱吸収フィルムの取り付け費用が20万円未満又は3年に1回取り替えることが前提ならば、税務上の重要性が低いので、全額修繕費として経費に計上することができます。

上記以外の場合、太陽熱吸収フィルムは、基本通達7-8-4の「一の修理、改良等のために要した費用の額のうちに資本的支出であるか修繕費であるかが明らかでない金額がある場合」に該当することなります。

つまり、太陽熱吸収フィルムの取り付け費が60万円未満前年度末に有する固定資産の取得価額(≒買った時の値段)全体の10%以下の場合は修繕費として経費に計上することができます。

太陽熱吸収フィルムの取付費については60万円未満の場合は修繕費として経費に計上できると覚えておけばよいでしょう。

参考までに基本通達7-8-4は以下の通りです。

一の修理、改良等のために要した費用の額のうちに資本的支出であるか修繕費であるかが明らかでない金額がある場合において、その金額が次のいずれかに該当するときは、修繕費として損金経理をすることができるものとする。(昭55年直法2-8「二十六」により追加、平元年直法2-7「五」、平19年課法2-7「八」により改正)
(1) その金額が60万円に満たない場合
(2) その金額がその修理、改良等に係る固定資産の前期末における取得価額のおおむね10%相当額以下である場合

取付費用が60万円以上なら基本通達7-8-5を利用することを検討する

太陽熱吸収フィルムの取付費用が上記の基本通達7-8-4の修繕費に計上できる金額を超える場合は、継続適用を前提として、基本通達7-8-5を利用して修繕費と資本的支出を3:7で按分していれば、3割については修繕費に計上することが認められています。

継続適用が前提になりますので、過去に全額資産に計上しているときには認められませんので注意が必要です。

参考までに基本通達7-8-5は、以下の通りです。

 一の修理、改良等のために要した費用の額のうちに資本的支出であるか修繕費であるかが明らかでない金額(7-8-3又は7-8-4の適用を受けるものを除く。)がある場合において、法人が、継続してその金額の30%相当額とその修理、改良等をした固定資産の前期末における取得価額の10%相当額とのいずれか少ない金額を修繕費とし、残額を資本的支出とする経理をしているときは、これを認める

建物の新築又は取得の場合の注意点

建物の新築又は取得に際して、新しく太陽熱吸収フィルムを取り付けた場合は、上記の理論とは別の考え方をするので注意が必要です。

建物の新築又は取得に際して、新しく太陽熱吸収フィルムを取り付けた場合は、建物と一緒に取得したものとして、太陽熱吸収フィルムの取付費用は新築又は取得建物の取得価額に算入しなければなりません。