青色事業専従者給与とは?家族に支払う給与を必要経費にする方法とは!

個人事業主が家族に支払う給与は、基本的には必要経費に算入することはできません

しかし、青色申告を行っており、一定の要件を満たす場合、青色事業専従者給与の特例が適用され、家族に支払った給与を必要経費に算入することができます

今回は、個人事業主が支払った家族に対する給与を必要経費に算入するための青色事業専従者給与について解説していきます。

青色事業専従者給与とは

青色事業専従者給与とは、生計を一にしている家族が個人事業主の仕事に専任で従事している場合に、家族に支払った給与を必要経費に算入できる制度です。

個人事業主が支払った家族に対する給与は基本的に必要経費に算入できないため、家族に支払った給与を必要経費に算入できる青色事業専従者給与は、節税対策のためにも是非利用したい制度になります。

青色事業専従者給与として必要経費算入が認められる要件について

青色事業専従者給与として必要経費算入が認められる要件は以下の3つになります。

  • 生計を一にする家族に支払われる専従者給与であること
  • 青色事業専従者給与に関する届出書」を税務署に提出していること
  • 給与が労務の対価として相当であること

生計を一にする家族に支払われる専従者給与であること

生計を一にする家族とは、日常生活を共にする家族(配偶者・親・子供)のことです。

専従者給与とは、個人事業主の事業を手伝うことを生活の中心としている家族に対する給与のことです。

生活の中心と言うためには、1年を通じて6カ月超の間、個人事業主の事業に従事していることが必要になります。

例えば、義務教育期間中である15歳未満の子供に関しては、学校に行くことが本業になるため、専従者給与を支払うことはできません。

「青色事業専従者給与に関する届出書」を税務署に提出していること

青色事業専従者給与を個人事業主の必要経費に算入するためには、「青色事業専従者給与に関する届出書」という書類を最寄りの税務署に提出しなければなりません

「青色事業専従者給与に関する届出書」の記載事項は、①青色事業専従者の氏名、②職務の内容、③給与金額、④支給時期となります。

また、「青色事業専従者給与に関する届出書」の提出期限は、青色事業専従者給与額を必要経費に算入しようとする年の3月15日までです。

ただし、①その年の1月16日以降に新たに事業を開始した場合や②新たに青色事業専従者給与制度を採用した場合、事業を開始した日や青色事業専従者給与制度を採用した日から2か月以内に「青色事業専従者給与に関する届出書」を最寄りの税務署に提出することになります。

なお、「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出後に、青色事業専従者に関する変更が生じた場合、「青色事業専従者給与に関する変更届出書」というものを遅滞なく最寄りの税務署に提出しなければなりません。

給与が労務の対価として相当であること

青色事業専従者給与が必要経費に算入されるためには、給与が労務の対価として相当であることが必要になります

言い換えると、家族に対する給与が労働の対価に比べて過大だと、必要経費に算入できなくなります

所得税法上、給与が労務の対価として相当であると言うためには、一般社会通念上の相当な対価で判断することになり、以下の2つの判断基準に従うことになります。

  • 使用人給与比準方式
  • 類似同業専従者給与比準方式

使用人給与批准方式とは、個人事業主の下で働いている一般の使用人の給与を参考に家族の給与を決定しようという方式です。

類似同業専従者給与批准方式とは業種や事業規模などが比較的似ている他の業者の平均給与を参考にして、家族の給与を決定しようという方式です。

なお、実務上は、類似同業専従者給与を把握することは困難なため、自分の下で働いている一般の使用人の勤続年数や仕事内容と比べて、家族の給与を決定することが多いです

青色事業専従者給与でよくある質問について

最後に青色事業専従者給与を必要経費に算入する上でよく聞かれる質問をQ&A方式で3つ紹介します。

青色事業専従者給与が否認された場合はどうなりますか?
給与の支払側(個人事業主側)では、所得税の追加納税が発生し、給与の受取側(家族側)では、贈与税の納税が発生します。

給与の支払側(個人事業主側)は、青色事業専従者給与が否認されれば、必要経費が税務署に否認された分だけ少なくなるので、所得金額が増え、所得税の納税額が追加で発生します

給与の受取側(家族側)は、税務署から否認された給与の金額について、贈与税の課税対象になります

ただし、贈与税は贈与を受けた側各々で年間110万円までの非課税枠を認めているので、青色事業専従者給与として否認された金額が1人当たり110万円までならば、贈与税の納税は発生しません

個人事業主の所得よりも家族に支払う給与が高くなっても大丈夫ですか?
普通に考えた場合、個人事業主が雇い主なので、個人事業主の所得の方が家族に支払う給与よりも高くなるはずです。

ただし、事業の運営に重要な関与をしている家族ならば、家族に支払う給与の方が個人事業主の所得より高くても問題ないと考えられます。

個人事業主の所得が赤字になる場合でも、青色事業専従者給与は必要経費に算入できますか?
青色事業専従者給与はあくまで家族に対する労働の対価なので、個人事業主の所得が赤字であった場合でも、青色事業専従者給与は必要経費に算入できます。