今回は、個人年金保険を活用した「誰にでもできる」節税方法を見ていきましょう。

サラリーマンでも、個人事業主でも活用できる方法で、基本的には元本毀損リスクが非常に小さい方法です。

あなたの銀行預金を「少しだけ」切り分けて、個人年金保険に預ける替えるというイメージを持って頂けると良いと思います。




この記事のポイント
  1. 個人年金保険は、「誰でも活用できる」(サラリーマンでも個人事業主でも活用できます)節税方法です。
  2. 貯金のほんの一部を個人年金保険に預け替えることが、税金面も含めて老後資金を増やすためには有効になります。

老後の資金は足りていない

世帯収入を調べる統計として「家計調査年報(家計支出編)」というものが総務省統計局より発表されています。

その統計を参考にすると、65歳以上の単身世帯で、1か月3万円65歳以上の2人以上の世帯1か月6万円、お金が足りていないことが分かります。

そもそも、老後の生活を支える基礎は、国民年金や厚生年金といった公的年金制度ですが、働く世代が支払う保険料が、その時点の高齢者の年金になるという仕組みです。

つまり、現役時代に自分が支払った保険料を老後に自分が受け取れる訳ではありません

また、65歳以上の人口1人に対する15歳~64歳の人口は年々減少しています。

国立社会保障・人口問題研究所が発表している「日本の将来推計人口」では、1980年代は65歳以上人口1名に対する15歳~64歳人口は7.4人だったのに対して、現状では、2人程度、2050年には、1.3人程度になってしまう予想です。

現状でも、老後の世帯収入がマイナスなのに、支えてくれる若者も減少するわけですから、公的年金の受給額が将来的に減額され、毎月の赤字額は拡大することが見込まれます

そこで、老後にお金を残すためには、自分でお金を残すしかないわけですが、その一つの方法に個人年金保険という方法があります。

個人年金保険は①個人年金保険料控除という節税枠があり、②普通預金よりも利率が高く、③加入・解約方法も簡単なためお勧めです。

以下では、個人年金保険を活用し、節税しながら老後資金を貯めていく方法を確認しましょう。

個人年金保険料控除とは

個人年金保険料控除とは、サラリーマンの給与所得(会社経営者の役員報酬も含みます)や個人事業主の事業所得から、支払った個人年金の金額に応じて、所得金額を控除する制度(つまり、最終的に支払う税金額を減少させる制度)です。

個人年金保険料控除を活用すれば、所得税で最大4万円、住民税で最大2.8万円まで所得控除を受けることができます。

どれくらい節税になるか?

それでは、個人年金保険料控除を活用すればどれくらい節税になるのでしょうか?

結論から言うと、①配偶者・扶養親族の有無、②年間の収入金額次第ですが、年間で、5,000円~16,000円程度の節税になります。

大まかな節税額は下記の図表をご覧ください。

【独身の場合】

所得
所得税節税額
住民税節税額
合計節税額
事業所得200万
給与所得300万
2,000円
2,800円
4,800円
事業所得500万
給与所得700万
8,200円
2,800円
11,000円



【配偶者ありの場合】

所得
所得税節税額
住民税節税額
合計節税額
事業所得250万
給与所得400万
2,000円
2,800円
4,800円
事業所得600万
給与所得800万
8,100円
2,800円
10,900円
事業所得800万
給与所得1,000万
8,100円
2,800円
10,900円



【配偶者と扶養親族1人】

所得
所得税節税額
住民税節税額
合計節税額
事業所得500万
給与所得700万
4,100円
2,800円
6,900円
事業所得800万
給与所得1,000万
8,100円
2,800円
10,900円
事業所得1,300万
給与所得1,500万
13,400円
2,800円
16,200円



【配偶者と扶養親族2人】

所得
所得税節税額
住民税節税額
合計節税額
事業所得600万
給与所得800万
4,100円
2,800円
6,900円
事業所得800万
給与所得1,000万
8,200円
2,800円
11,000円
事業所得1,300万
給与所得1,500万
13,500円
2,800円
16,300円



年間5,000円~16,000円の節税だと少なく感じるかもしれませんが、仮に20年間、10,000円/年の節税が出来れば、最終的には20年間×10,000円/年=20万円も多く老後にお金を残せることになります

個人年金保険は基本的に加入要件も厳しくなく、医師の診断もいらないため、延べ1時間もあれば契約が完了します

1時間で20万円も多くのお金を老後に残せるならば、お得ではないでしょうか

預金利息と比べてみよう

加入者が支払った保険料は保険会社が預かっている状態にあるため、保険会社から配当金を受け取ることが出来ます

この配当金は、保険会社の利率により計算されるため、金利水準等により変動する可能性はありますが、預金利息に近い性質です。

ただし、個人年金保険の配当金は、預金利息よりも一般的には、多くなります

以下、毎月の運用額を10,000円とした場合の預金利息と個人年金保険の配当金の受取額を比べてみましょう(この記事を記載した時点の利率です)。

経過年数/種類
預金利息
保険配当金
45年
1,205円
170万円
35年
724円
101万円
25年
363円
49万円
15年
122円
26万円



注目したいのは、預金利息です。

45年預けても1205円、35年だと724円、25年だと363円、15年だと122円にしかなりません。

現状の金利があまりに低いため起こっている事態ですが、金利面だけ見ても、元本毀損リスクが低い個人年金保険に一部組み替えるのは悪い選択肢ではないはずです。

個人年金保険の掛金には注意しよう!

預金利息より個人年金保険の配当金の方が利率が良いので、個人年金保険に多くの掛金を投入したくなるところです。

しかし、個人年金保険に対する支払保険料を回収できるのは、保険料を支払った時からずっと後になってからなので、資金繰りには注意が必要です。

また、個人年金保険料控除の枠は前述の通り、4万円/年ですが、その枠を使い切るだけならば、年間8万円を支払保険料とする個人年金保険に加入すれば十分です。

ただし、実際には、税制適格や保険会社の意向もあるため、年間12万円程を支払保険料とする個人年金保険に加入することになるでしょう。

満期時の税金もあわせて考慮しよう!

老後に個人年金保険から年金を受け取るときには、税金が発生します

つまり、年金を受け取るたびに、毎年所得税法上の雑所得が発生するのですが、計算式は以下の通りです。

個人年金保険受取時の雑所得の計算式

雑所得=(その年度に支払いを受けた個人年金額―支払を受けた個人年金額に対する掛金の額)×所得税率

支払を受けた個人年金額に対する掛金の額=その年度に支払いを受けた個人年金額×払込保険料の総額÷年金の総支給見込額



計算式を記載しましたが、複雑だと感じる場合は、以下の結論だけを覚えておけば良いでしょう。

全期間を通した個人年金保険の受取額

全期間の個人年金保険の受取額を考慮すると、利益(利息+配当金)が出ている部分に対してのみ税金の課税が行われ、支払った元本部分はそのまま年金として戻ってくる


具体例で見てみよう

以下の個人年金に加入した場合に、②払込額総額、⑦税引後利息金額、⑧年金受取総額を検討してみましょう。
また、⑦税引後利息金額と⑨普通預金の利息金額を比べてみましょう。

  • 払込額 年間12万円程度(50歳加入の場合は税制適格のため14万程度)
  • 加入時期 20歳、30歳、40歳、50歳で比較
  • 契約者・被保険者 本人
  • 満期時の受取方法 年金方式
  • 満期時の税率 20%と仮定
  • 個人年金保険料控除の節税額 7,000円/年と仮定
【②払込額総額と⑦税引後利息金額】


加入年齢

払込額総額

利息

配当総額

節税額
⑥=③+④+⑤
利息等合計
⑦=⑥*80%
税引後利息金額
20歳
539万
48万
170万
32万
250万
200万
30歳
419万
27万
101万
25万
153万
122万
40歳
299万
14万
49万
18万
81万
65万
50歳
215万
8万
26万
10万
44万
35万

【⑧年金受取総額】


加入年齢

払込額総額
⑦=⑥*80%
税引後利息金額
⑧=②+⑦
年金受取総額
20歳
539万
200万
739万
30歳
419万
122万
541万
40歳
299万
65万
364万
50歳
215万
35万
250万

【⑦税引後利息金額と⑨普通預金利息の比較】

加入年齢
⑦=⑥*80%
税引後利息金額

普通預金利息
20歳
200万
1205円
30歳
122万
724円
40歳
65万
363円
50歳
35万
122円



年齢が若いうちから個人年金保険に加入していた方が、普通預金に預け入れているより、増加金額は多くなりますが、50歳から加入しても30万円以上普通預金より増加金額が多くなり、さらに元本の拘束時間も短くなるため十分メリットがあります

以上より、貯金の「ほんの一部」を個人年金保険で保有するという選択肢は誰でも一度は検討した方が良い節税対策と言えるのではないでしょうか。