この記事の対象者 所要時間
  • 役員退職金の税務上の適正額を知りたい人
10分




役員退職金はグレーゾーンが多い

役員退職金はグレーゾーンが多いので、きっちりとした算定の基準に則って金額を決めていると税務調査官に印象づけることが肝要です。

疑われて、税務調査官の方からデータを持ってこられると、情勢はかなり悪くなります。

役員退職金の一般的な計算式

役員退職金
最終役員報酬月額×役員在任期間×功績倍率

功績倍率は以下のようにして決めることが多いです。
税法上の根拠はないですが、この功績倍率を使用して否認された事実も聞いたことがありませんので、最終的にはこの倍率を参考にすることになります。

  • 代表取締役⇒3.0倍
  • 専務⇒2.4倍
  • 常務⇒2.2倍
  • 平取締役⇒2.0倍
  • 監査役⇒1.0倍

実際の功績倍率の考え方

例えば、代表取締役の功績倍率ですが、必ず3.0にしなくてはならないという訳ではありません。あくまで参考です。

役員退職金の功績倍率を決めるポイントは以下の3つです。

  1. 類似法人の平均功績倍率
  2. 類似法人の最高功績倍率
  3. 退職役員の個人的な事情

上記3つを踏まえた結果、例えば代表取締役の功績倍率が3倍ではなく、5倍と納税者側で判断したのなら役員退職金を多く計上することも可能ですし、理にかなっているのなら税務調査でも認めれる可能性はあります。

ただし、類似法人の平均功績倍率、類似法人の最高功績倍率はデータが公開されていないので納税者側の推測になりますし、退職役員の個人的な事情は説明しにくいので、税務調査で争いたくない場合は3.0倍にすることが多いです。

役員退職金の計算式を理解したうえでの注意点

役員退職金の計算式は、最終役員報酬月額×役員在任期間×功績倍率だと説明しました。そのうえで税務調査で否認されないように以下の点に注意しましょう。

最終役員報酬月額は計画的に計上する

退任する最後年の役員報酬をいきなり上げて、役員退職金を増やそうとしても当然否認されます。役員報酬は会社の考え方・状況で金額がばらつきますが、役員報酬を最終的に計上する予定ならば、ある程度の期間、ある程度の金額を計上しておくべきでしょう。

調査官側から類似法人の功績倍率を提示された場合

類似法人の功績倍率のデータは公表されていないので、納税者側からは分かりません。

ただし、類似法人の抽出過程の適切性は十分議論できる可能性があります。

税務調査官側からは納税者の売上基準の半分や倍ぐらいの法人を類似法人として選定してくることもあります。功績倍率に不満が残るようなら、売上が半分や倍の法人が本当に類似と言えるか?同等の売上規模の会社を再度見つけられないか?を十分に議論すべきです。

つまり、データの正確性では勝てないが、抽出の仕方は争えるのではないかということになります。

そもそも役員が退職したのかどうかでもめないようにしよう

役員報酬の決め方をまとめてきましたが、そもそもの論点として「本当に前任代表取締役は退任したの?」と税務調査官に疑われてしまうケースがあります。

家族経営の会社などでは、まず間違いなく疑いたくなる論点です。

そこで、「本当に前任代表取締役は退任したの?」と税務調査官に突っ込まれないためのポイントを4つ記載しておきます。

  1. 稟議の決裁者に前任の代表取締役は含めない。
    ⇒見るのはOKですが、名前は絶対に出さないでください。
  2. 社内の人事権が新しい代表取締役にあることを明示する。
    人事発令等社内文書は、新しい代表取締役の名前で発行してください。
  3. 重要な取引先との折衝は新しい代表取締役に任せる。
    ⇒退任した代表取締役等は絶対に矢面に立たないでください。
  4. 正式文書の捺印を新しい代表取締役がやる。
    ⇒誰がハンコを押しているかは正直どうでもいいです。新しい代表取締役の手元にハンコが保管されていることが大事です。前任の代表取締役の机の前にハンコを絶対置かないでください。