この記事の対象者 所要時間
  • 役員報酬でどれくらい節税できるか知りたい法人経営者
  • 法人化して節税を考える個人事業主
15分




役員報酬は節税対策になる

個人事業主の場合は、事業主であるあなた自身に給与を支払うことはできませんでした。しかし、法人の場合、法人とあなたは別人格とみなされるため、法人からあなたに対して役員報酬を支払っても問題ありません。

また、個人事業主の場合、奥さんや子供に給与を支払うことは可能でしたが、青色専従者給与という制度の縛りがあり、支給できる給与に制限がありました。しかし、法人の場合には奥さんや子供に取締役になってもらえば、役員報酬を支給することができ、支給できる給与の制限は個人事業主の時より格段に上がります。

あなたや奥さんや子供に支払う役員報酬ですが、当然経費に計上できますので、あなたや奥さんや子供に支払った役員報酬分だけ、利益が減少し、納税額も少なくなります。

役員報酬をもらった側では、給与所得になるので、所得税・住民税を支払わなければなりませんが、所得税には給与所得控除(≒経費)があります。よって、上手く役員報酬を活用できれば、強力な節税対策になります。以下に給与所得の金額ごとの給与所得控除(≒経費)が認められる金額を記載しておきます。

給与金額 給与所得控除額
180万円以下 収入金額×40%
650,000円に満たない場合には650,000円
180万円超360万円以下 収入金額×30%+180,000円
360万円超660万円以下 収入金額×20%+540,000円
660万円超1,000万円以下 収入金額×10%+1,200,000円
1,000万円超 2,200,000円

最低でも65万円は控除でき、基礎控除38万円分も考えると1人あたり103万円までは法人から役員に給与を渡しても非課税になります。

家計で必要なお金を会社から調達することを前提に、あなた自身の給与⇒奥さんの給与⇒子供の給与の順で考えていき、法人・個人合計で一番節税効果が高い金額を採用すればよいことになります。

具体的な数値で比較してみよう

以下の条件のときに
①個人事業主の納税額
②法人で役員がいないときの納税額
③法人で役員がいるときの納税額を比較してみましょう。

  • 利益は800万円
  • 法人の税率は25%、個人の納税額は所得税+住民税とする
  • 役員報酬があるときはあなたが400万円、奥さんが100万円とする
個人事業主 法人-役員なし 法人-役員あり

合計納税額
(①+②+③)
200万 200万 119万
個人利益+役員報酬 800万 500万
奥さんの部分は100万なので少額非課税

所得税
120万 17万

住民税
80万 27万
法人利益 800万 300万

法人納税額
税率25%
200万円 75万

①所得税と②住民税の個人事業主と法人―役員ありのところが特に大きな節税になっています。この差は給与所得控除を利用したことにより節税額です。

法人化して役員報酬をあなたと奥さんに支払えばかなりの節税が期待できることになります。合計納税額で80万円程度の違いが出ています。

以下に計算式も残しておくので、あなたの事業の利益を入れてまずはざくっと計算してみてください。そのうえで、かなりの節税になるようならば、ちゃんと計算してみると良いでしょう。

【参考】
所得税の計算方法
住民税の計算方法
法人にかかる税金の概算額が分かる方法

計算式

①個人事業主の場合

所得税=利益×累進税率-控除額(利益により決定される)
=利益800万×23%―64万円
=120万円

住民税=利益×住民税率(10%)
=利益800万×10%
=80万円

納税額合計=所得税+住民税
=200万円

②法人で役員がいない場合
法人税=利益×税率(25%)
=利益800万×25%=200万円
③法人で役員が2人いるとき

給与所得=給与所得-給与所得控除(上記計算式参照)
=400万―134万
=266万

所得税=利益(給与所得)×累進税率-控除額(利益により決定される)
=266万×10%‐97,500円
=17万円

住民税=利益(給与所得)×住民税率(10%)
=266万×10%
=27万
※奥さんの役員報酬は100万円なので非課税とする。

法人税=利益×税率(25%)
=(800万―400万―100万)×25%
=75万

納税額合計=所得税17万+住民税27万+法人税75万
=119万円