この記事の対象者 所要時間
  • 特別償却の内容を知りたい人
  • 税額控除の内容を知りたい人
  • 特別償却と税額控除のどちらが有利なのかを知りたい人
10分




特別償却とは?

年々の減価償却額に加えてさらに減価償却費を計上できる制度を特別償却といいます。

特別償却は事業者が投下した資金を早期に回収することを目的にした制度です。

この記事を記載している平成29年4月9日現在では、①中小企業投資促進税制、②中小企業活性化税制で取得価額の30%の特別償却が認められ、③中小企業経営強化税制ではなんと即時償却が認められています。

減価償却は、お金を支払わずに、経費を計上できるという制度でした。経費として計上した減価償却費部分の金額だけ利益が圧縮され、その分納税額が減り、お金が社内に留保されるので、減価償却は投下した資金を回収するための制度ということもできます。

特別償却を利用すれば、通常の減価償却費に加えて、特別償却分だけ経費を多く計上できるので、投下資金の回収の早期化がはかれます。

税額控除とは?

税額控除とは税金を直接控除してもらえる制度です。

この記事を記載している平成29年4月9日現在では、①中小企業投資促進税制、②中小企業活性化税制で取得価額の7%の税額控除が認められ、③中小企業経営強化税制では取得価額の10%の税額控除が認められています。

よって、利益に税率を掛けた納税予定額からさらに、税額控除額を差し引いた金額が最終的な納税額になります。

簡単に言うと、直接法人税や所得税の税額から税額控除額を減らすことができる大変お得な制度です。

特別償却と税額控除はどちらが有利か?

一般的には税額控除の方が有利になります。税額控除は納税額を直接減らせるので、納税額自体の値引きを意味するのに対して、特別償却は経費を多く計上できるだけで最終的な納税額自体は変わりません。

ただし、資金繰りが悪く、最終的な納税額総額よりも1年間の納税額を減らしたい場合は特別償却の方が有利な場合もあります(法人税の場合、税率が近年低下しているので、場合によっては、税額控除の方が1年間の納税額も有利な場合もあります)。

設例で見てみましょう。

中小企業等投資促進税制に該当するソフトウエアを200万円で取得した。耐用年数を5年として、各年度の所得が500万円、税率が30%とするとき各年度の納税額と5年間の合計の納税額を特別償却、税額控除を利用した場合でそれぞれ計算してください。
下記の表から分かる通り、1年目の納税額は特別償却の方が4万円(124万円―120万円)少なく、全体の納税額は税額控除の方が14万円(690万円―676万円)少なくなります。

【特別償却の場合】

(単位:万円)
1年目 2年目 3年目 4年目 5年目
所得 500 500 500 500 500
減価償却額 100 25 25 25 25
利益 400 475 475 475 475
税率 30% 30% 30% 30% 30%
納税額 120 142.5 142.5 142.5 142.5

【税額控除の場合】

(単位:万円)
1年目 2年目 3年目 4年目 5年目
所得 500 500 500 500 500
減価償却額 40 40 40 40 40
利益 460 460 460 460 460
税率 30% 30% 30% 30% 30%
納税予定額 138 138 138 138 138
税額控除 14
納税額 124 138 138 138 138

特別償却や税額控除は期限付きです

特別償却と税額控除を利用できる場合は、税額控除を利用した方が一般的には良いという結論がでました。

最後に少しおまけ話です。

特別償却や税額控除は租税特別措置法という所得税や法人税とは別の法律で規定されている時限立法です。つまり、その時々の経済状況などを考慮して政策的に決められているものです。

よって、適用期間や適用資産の内容はその時々で変容していくことになります。

あなたに関係のある特別償却や税額控除が税制改正で発表されたりすることもありますので、1年に一回は税制改正を追うと良いかもしれませんね。