この記事の対象者 所要時間
  • 課税売上高が5,000万円以下の個人事業主や会社経営者
  • 少しでも消費税の節税対策を行いたい個人事業主や会社経営者
10分




消費税の申告方法

個人事業主であれ、会社であれ、事業が軌道に乗り始めると売上高で1,000万円を超えることになります。

売上高が1,000万を超えると、超えた期から2年後に消費税の納税義務が生じることになります。

そして、消費税を納税するためには、消費税の確定申告書というものを作り、税額を確定させなくてはなりませんが、実は消費税の確定申告書の方法には、「簡易課税」「原則課税」という2種類の申告方法があります。

簡易課税と原則課税の計算方法

簡易課税の計算方法

簡易課税
消費税額=売上げに係る消費税額‐売上に係る消費税額×みなし仕入率

【みなし仕入れ率】

区分 税率
第一種事業(卸売業) 90%
第二種事業(小売業) 80%
第三種事業(製造業等) 70%
第四種事業(その他の事業) 60%
第五種事業(サービス業等) 50%
第六種事業(不動産業) 40%

原則課税の計算方法

原則課税
消費税額=売上げに係る消費税額-仕入れに係る消費税額

計算例を使ってどちらがお得か検討してみよう

居住用の建物の賃貸業と事務所用の建物の賃貸業を営んでいる。

  • 事務所の賃貸収入3,240万円(うち消費税部分240万円)
  • 居住用の賃貸収入5,000万円
  • 事業経費2,160万円(うち消費税部分160万円)

この場合の簡易課税と原則課税の消費税の納税額を求めよ。

【解答】

簡易課税の場合144万円。原則課税の場合180万円

【解説】

<簡易課税の場合>

不動産業のみなし仕入れ率の区分は第六種事業なので、みなし仕入れ率は40%になります。

消費税が課税されるのは、消費税の対象になっている売上なので、居住用の建物の賃貸収入は消費税の対象にはなりません。

すると、消費税の簡易課税の場合は以下の計算式になります。

簡易課税の消費税額=売上げに係る消費税額―売上に係る消費税額×みなし仕入率
         =240万円―240万円×40%=144万円

<原則課税の場合>

厳密に言うと仕入れにかかる消費税額の計算方法は「個別対応方式」又は「一括比例配分方式」の2つの方法があるのですが、個別対応方式は手間が非常にかかるためあまり採用されません。よって、ここでは、一括比例配分法式で計算します。

【事業経費の消費税のうち、事務所の賃貸収入を生むために使用された消費税分】
仕入に係る消費税額=事業経費中の消費税額×事務所の賃貸収入(税抜き)÷(事務所の賃貸収入(税抜き)+居住用の賃貸収入)
=160万円×3,000万円÷(3,000万円+5,000万円)
=60万円

【原則課税】
消費税額=売上げに係る消費税額-仕入れに係る消費税額
=240万円―60万円
=180万円

計算が簡単なのは?

売上だけから消費税が計算できる簡易課税の方が圧倒的に計算は楽です。

どちらがお得か?

残念なことにどちらがお得かは計算してみないと分かりません。

ただ、非常に難しいのは、簡易課税を選択する場合は、簡易課税を選択する前年度までに届出を提出しなくてはなりません。

つまり、確定数値ではなく、予測数値で原則課税か簡易課税かを決めなくてはならないということです。

しかもいったん簡易課税の届出を出すと2年間は簡易課税を変更することはできません。

将来予測をもとに非常に慎重な判断が求められます。

どちらを選択するかは会計事務所任せにしないで、必ず原則課税と簡易課税のシュミレーションをしてもらい、事業主側でも自身のビジョンを重ね合わせて判断しましょう。