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ソフトウエアのバージョンアップ費用の税務上の処理方法

税務上のソフトウエアのバージョンアップ費用の処理方法は法人税法基本通達7-8-6の2で示されています。この基本通達によるとソフトウエアのバージョンアップ費用の処理方法は次の3通りが考えられます。

  1. 修繕費(経費)⇒プログラムの機能上の障害除去や効用維持に該当する場合
  2. 資本的支出(資産)⇒機能の追加や向上にあたり、使用期間を延長させたり、資産価値を増加させたりする場合
  3. 資産の新規取得(資産)⇒仕様を大幅に変更するなどの著しい改良に該当する場合

2.に該当する場合は20万円までは少額で重要性がないため、たとえ資本的支出であっても、修繕費として経費に計上することができます。

3.に該当する場合でも10万円(青色申告者ならば30万円)までは、少額で重要性がないため、新規資産の取得であっても消耗品費の取得として経費に計上することができます。

バージョンアップ費用には2つの場合が考えられる

ソフトウエアのバージョンアップを行う場合はバージョンアップ版のパッケージを購入することになりますが、

  1. 普通のバージョンアップパッケージを購入するか
  2. アップグレード版のバージョンアップパッケージを購入するか

に分かれると考えられます。

普通のパージョンアップパッケージを購入した場合

普通のバージョンアップパッケージを購入した場合、今までになかった新たな機能追加があるはずなので、機能追加に要した費用は、ソフトウエアのバージョンアップ費用の税務上の処理方法の2.に該当するため資本的支出(資産)になるでしょう。

なお、バグ取りやプログラムの不具合の修正のために、バージョンアップパッケージを無償で配布することがありますが、ソフトウエアのバージョンアップ費用の税務上の処理方法の1.に該当するため修繕費として経費処理されます。もっとも、無償提供されているので、仕訳自体が行われることはありません。

アップグレード版のバージョンアップパッケージを購入した場合

税務上の処理方法としては資本的支出か資産の新規取得かになります。機能の追加や操作性の向上のみを目的としているバージョンアップならば資本的支出になり、製品の大部分を作り直すような大幅な修正が行われていれば資産の新規取得になります。

ただ、資本的支出か資産の新規取得になるか非常に難しい場合も存在します。

例えば、ソフトウエアのバージョン1を100円で購入して、使用開始後2年が経過してバージョン2が発売されたとします。

このバージョン2ですが、新規パッケージ費用が200円、旧版のユーザーに向けたアップグレード版のバージョンアップ費用が80円だったとします。

バージョン1からバージョン2に変わっていますが、購入者側から見ると、制作者側で製品の大部分を作り直すような大幅な修正があったかどうかは分かりません。

つまり、購入者側では、資本的支出か資産の新規取得か分からないことになります。

では、どうやって資本的支出か資産の新規取得かを見分けるかというと、旧版のユーザーに向けたアップグレード版のバージョンアップパッケージが単独で機能するかどうかということになります。

単独で機能するのならば、それはもう新しい資産の取得ということになりますよね。

1つだけ注意点を挙げると、製品によっては、アップグレード版をインストールする場合には旧版の製品のシリアルコードを入力や旧版のパッケージがパソコンにインストールされていないとアップグレード版のバージョンアップパッケージが使用できないということがあります。

これは製作者側が旧版のパッケージを持っている人に対する優待販売をするために、機能制限をしているだけで、アップグレード版のパッケージが単独で機能しないという結論にはなりません。優待販売のための制作者側の制限行為をもって、資産の新規取得には影響しないと覚えておきましょう。

アップグレード版のバージョンアップ後の旧版の除却について

アップグレード版のバージョンアップパッケージをインストールした時に資産の新規取得になるのならば、旧版のパッケージについて除却できるかが問題になります。もし除却できれば、未償却残高(取得価額―減価償却累計額)の部分だけ除却損を計上でき、経費を増やすことができます。

旧版のパッケージを除却できるかどうかは、アップグレード版のバージョンアップパッケージをインストールした時に旧版のパッケージがアンインストールされるかどうかによって変わってきます。

旧版のパッケージがアンインストールされる場合には実質的にも除却が行われているため、当然に除却損を通して経費を計上することができます。

旧版のパッケージがアンインストールされない場合でも、法人税法基本通達7-7-2の2により、旧版のパッケージが使用されていない状態が明らかな場合は除却処理をすることができることになります。

ただし、法人税法基本通達7-7-2の2を利用するときはきちんと社内で検討して証憑を残しておきましょう。

なんとなく使われなくなっているからという理由で除却処理するのはやめましょう。

ソフトウエアにつき物理的な除却、廃棄、消滅等がない場合であっても、次に掲げるように当該ソフトウエアを今後事業の用に供しないことが明らかな事実があるときは、当該ソフトウエアの帳簿価額(処分見込価額がある場合には、これを控除した残額)を当該事実が生じた日の属する事業年度の損金の額に算入することができる。(平12年課法2-19「九」により追加)

(1) 自社利用のソフトウエアについて、そのソフトウエアによるデータ処理の対象となる業務が廃止され、当該ソフトウエアを利用しなくなったことが明らかな場合、又はハードウエアやオペレーティングシステムの変更等によって他のソフトウエアを利用することになり、従来のソフトウエアを利用しなくなったことが明らかな場合

参考:法人税法基本通達7-7-2の2