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おさる先生の授業 5分 詳しい説明 5分 |

おさる先生、今度新しく不動産賃貸業を始めたんだけど、現金が入ってきた時に売上計上すればいいのかな?

うん。
基本的にはそれで問題ないよ。
ただ、それだと場合によっては期末に追加で売上を計上しないと脱税になる恐れがあるよ。

え、脱税…
僕そんなに悪いことしてるの?

いやいや、くま君は悪くないんだ。
ただ、不動産賃貸業の税務上の売上はお金が入っていなくても、契約期間が過ぎてしまったら発生してしまうんだ。

どういうこと?

例えば、3月1日~3月31日までの家賃をもらっていなくても、4月1日が来たら税法上はお金をもらっていなくてもこの期間の売上を計上しなくてはならないんだ。

なるほど。
お金をもらっていなくても、売上を計上しなくてはならないんだね。

そう。
だから、くま君が賃借人からとりっぱぐれている家賃がある場合、期中では売上計上されていないから、期末に追加で売上計上しないと脱税になる可能性があるよ。

そうなんだ。

あと、くま君は自分で会社を作って、そこに不動産賃貸業の管理業務をお願いしているみたいだね。

うん。
なんかの本でそうした方が税務上いいって書いてあったから…
ちなみに管理フィーは売上の30%にしているよ。
ちょっと高すぎるかな…

管理会社を設立して、売上を会社に付け替えること自体は合法だけど、やり過ぎると租税回避行為として税務上否認される可能性があるよ。
一般の商習慣から見て、30%の管理フィーはちょっとやりすぎだね。
もう一度、ちゃんとした料率を一緒に考えてみよう!

うん。
節税・脱税・租税回避の定義
経営者の方と話していると、節税・脱税・租税回避の違いはなにかという話題になることがよくあります。
そこで、今回は節税・脱税・租税回避の違いの話しをします。
まずはそれぞれの定義の紹介です。オレンジのところを見れば、それぞれの違いがすぐ分かると思います。
項目 | 内容 |
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脱税 | 非合法的に税金の納税を免れる行為 例:売上金額に嘘の金額を記載したり、売上があったのに隠すこと |
租税回避 | 税務署の意図しない方法で行われる合法的な税金軽減又は排除行為 例:個人事業主が不動産会社を設立して、売上の一部を付け替える |
節税 | 税務署が知っている方法で行われる合法的な税金軽減又は排除行為 例:青色申告特別控除を利用する |
脱税の意識がなくても該当する場合があります
当たり前ですが、脱税はしてはならないので絶対にやめましょう。
ただ、脱税の意識がなくても、脱税に該当する行為をしてしまうことは十分あります。
例えば、売上の計上漏れを気づかないでしてしまった時などです。
特に、普段はお金が入ってきたときに売上を計上しているようなら期末の時は要注意です。
業種によって売上の計上時期は違うため、一概には言えませんが、お金が入金された時に売上が計上されるということは基本的にありません。
たとえお金をもらってなくても、業務が完了した時点などで売上計上することが一般的です。
普段、手もとに現金が入ってきた時や通帳にお金が振り込まれた時に売上計上をしているようなら、期末ではあなたが行う業務が完了した時点で、たとえお金が動いていなくても売上を追加で計上しなくてはならないことを覚えておいてください。
節税の結果、租税回避で税務署に怒られないように気をつけよう
あなたが税金をなるべく納めたくないと考えるならば節税方法を身につけましょう。
節税に関しては、税務署が知っていて認められている合法的な手段なのですから、利用しないのは非常にもったいないです。
ただ、問題になるのが、節税と租税回避の境界線です。
節税しているつもりが租税回避になってしまう場合も考えられます。
租税回避の定義で個人事業主が不動産会社を設立して、売上の一部を付け替えるという例を掲載していますが、節税と租税回避の境界線は実に曖昧です。
不動産会社を設立して、売上の一部を付け替える処理をしているならば、その付け替える比率が問題になります。
一般的に他の不動産屋に頼んでも同じような比率になるならば、節税の範疇になり問題ないのですが、物件によって管理のための手間が違うため当然適正な比率なんてものはありません。
不動産会社の手間と管理フィーは比例するので当然ですよね。
あまり背伸びをして高い比率を自分で設立した不動産会社に付け替えていると租税回避で税務上否認される可能性もありますので注意しましょう。