この記事の対象者 所要時間
  • これから個人事業主になろうとしている人
  • 個人事業主として開業するために現在活動している人
  • 開業直後の個人事業主
おさる先生の授業
5分
詳しい解説
5分

くま君くま君

おさる先生、会社を辞めたいんだ。
だから、不動産賃貸業を始めようと思って、物件探しをしているんだけど、調査にかかった領収書とかは捨てていいのかな?


おさる先生おさる先生

絶対に捨てては駄目だよ。
開業する前にかかった費用も「開業費」といって開業後に経費にすることができるんだ。


くま君くま君

そうなんだね。でも、いつ不動産を取得できるか今のところ不明だよ。
1年ぐらいかかっちゃうかもしれないけど…
開業まで長すぎて認められないかも…


おさる先生おさる先生

開業費に関しては、税法上、期間の定めはないよ。
開業したいと思った日から開業できるものじゃないから、1年ぐらいは全然大丈夫。


くま君くま君

そうなんだ。


おさる先生おさる先生

うん。
それと、開業費をちゃんと計上しておくと、開業後に利益が出たときに圧縮できるんだ。
開業費の残額がなくなるまで、利益の圧縮ができるからかなりの節税になるし、利益の調整弁としても本当に重宝するよ。


くま君くま君

おさる先生、ありがとう。
ちゃんと領収書取っておくよ。




開業費とはなにか?

開業費とは個人事業主が独立して開業するに支払った費用の総額です。

これから開業する事業に関係があるもので、領収書や請求書などでかかった費用を証明できるものが前提になります。

開業前までの期間に税法上の定めはないので、開業のためにかかった費用ならば、1年前でも2年前でも基本的に開業費に算入できます。

開業費の範囲に含まれるもの

基本的に開業のために支払ったものだと証明できれば、どんな費用でも開業費になります。

以下では念のため開業費に含まれそうな費用を例示列挙してみます。

  1. 打ち合わせのための飲食費や交通費
  2. 事務所予定地や開業準備場所の家賃・火災保険料
  3. 開業準備のための印刷代金
  4. 事務所予定地や開業準備場所の水道光熱費
  5. 名刺の作成費用
  6. 開業準備のために必要な電話代・インターネット代

開業費は繰延資産

開業費は厳密に区分すると経費ではなく、繰延資産という資産です。

資産という区分に分けられため、何年かにわたって資産を取り崩して経費にできることになります。

「何年かにわたって費用になる」という事実が非常に重要になります。

個人事業主の開業費は利益調整弁になる

開業費は開業「前」に支出した費用が開業「後」の経費になるので、確定申告での税金(所得税・住民税等)の支払い金額を減少させる効果があります。

これだけでも、相当なメリットです。

ただ、開業費の本当のメリットはもっと別のところにあります。

前述の通り、開業費は何年かにわたって費用になります。

しかも、資産を取り崩していくら費用にするかの金額の取り決めは税法上決められていません

開業費の残額の範囲内ならいくら経費に振り替えても構いません。

つまり、以下の例のようなことが可能です。

例)開業費が100万円あるとするならば、
開業1年目 利益が20万円あるので開業費の取崩し19万円
開業2年目 利益が30万円あるので開業費の取崩し29万円
開業3年目 利益が60万円あるので開業費の取崩し58万円

なにが言いたいかというと、開業費があれば利益をぎりぎりまで圧縮できて、しかも赤字(損失)にしないことができるということです。

銀行融資の際には黒字(利益)であることが大切になります。

最初から赤字(損失)の場合はどうすることもできませんが、黒字(利益)の場合は、開業費があると非常に便利です。

これから個人事業主として開業しようという人は、必ず開業「前」の領収書等を保存しておいてください。