この記事の対象者 所要時間
  • 借入をして不動産賃貸業をしている個人事業主
  • これから不動産賃貸業を始めようと考えている人
  • 不動産に関する税金を知りたい人
10分




借入の利息について

不動産賃貸業を行うために銀行から不動産取得のためのお金を借りたらその利息は必要経費になります。

事業を行うために借りたお金の利息のため当然必要経費になりますよね。

ただ、個人事業主の場合は1点だけ注意が必要です。

不動産所得が赤字(マイナス)の場合、「土地」に関する借入金の利息は損益通算できないということです。

本来は不動産所得が赤字の場合、給与所得や事業所得が黒字(プラス)ならば、赤字と黒字を相殺していいことになっています。

しかし、土地に関して融資を受けた借入金の利子部分(支払利息といいます)に関しては、損益通算の段階(相殺する段階)で不動産所得が赤字にならなかったものとして取り扱われます。

損益通算の具体例

言葉で書くと非常に難しいので以下に具体例を提示します。

以下の事象のとき、損益通算後の所得はいくらになるか?

  • 5,000万円の投資用不動産を購入するため、全額を銀行から融資してもらった。
  • 土地の価額は2,000万円、建物の価額は3,000万円。
  • 銀行に支払った支払利息が100万円。
  • 給与所得が600万円、不動産所得が△300万円。

【解答】

損益通算後の所得は340万円になります。

【解説】

通常の損益通算をすると、給与所得+不動産所得=600万円+△300万円=300万円となります。

ただし、今回は不動産所得がマイナスで土地に関する借入金利息があるため、これでは間違いです。

土地に関する借入金利息を計算すると、100万円÷5,000万円×2,000万円=40万円となります。

この40万円部分は損益通算できないので、600万円+(△300万円+40万円)=340万円が所得となります。

節税のためのテクニック

土地に関しての借入金の利息が損益通算できないという事実は話してきた通りなのですが、実は土地の代金部分だけでも頭金を入れられれば、土地に関する借入金の利息の議論はしなくてよくなります。分かりにくいので、例題で解説します。

以下の事象のとき、損益通算後の所得はいくらになるか?

  • 5,000万円の投資用不動産を購入するため、2,000万円を自腹で支払い、3,000万円を銀行から融資してもらった。
  • 土地の価額は2,000万円、建物の価額は3,000万円。
  • 銀行に支払った支払利息が100万円。
  • 給与所得が600万円、不動産所得が△300万円。
【解答】

損益通算後の所得は300万円になります。

【解説】

通常の損益通算をすると給与所得+不動産所得=600万円+△300万円=300万円となります。

そして、今回は300万円で損益通算後の所得の金額は正解です。

自腹で支払った2,000万円はまず土地に充当されたと考えて、銀行から融資を受けた3,000万円は建物を購入したと考えることができます。

よって、「建物」に関する借入金の利息が100万円発生しているだけで、「土地」に関する借入金の支払い利息は発生していないので、調整してやる必要はありません。

損益通算のまとめ

不動産所得が赤字で損益通算をする場合、「土地」に関する借入金利息の調整をしてやらなくてはなりません。

インターネットで確定申告をする画面でも表示されていますが、知らないで、すっ飛ばしている方は非常に多いです。

銀行の借入利率自体が近年は非常に低率なので、大きな問題にはなりにくいですが、築年数が古く、高額な不動産を購入した時は土地の借入金の利息が大きくなることがあるので注意しましょう。

そして、節税のためのテクニックで紹介したように、「頭金を出せば、まず土地の代金部分に充当できる」ということは意外と知られていないです。税務署は納税者に有利になるようには取り計らってくれないので、あなたが知らなければ納税額を多く支払って終わりになります。

是非心の片隅にでも残しておきましょう(特殊論点なので、税理士も意外に知らなかったりしますので…)