この記事の対象者 所要時間
  • 借入金の返済が必要経費になると考えている人
  • 不動産を売却しようと考えている個人事業主や会社経営者
おさる先生の授業
5分
詳しい説明
5分

くま君くま君

おさる先生、この間、不動産を売却して利益が出ているはずなのに資金繰りが悪化しているみたいなんだけど…
なにが原因なのかな?


おさる先生おさる先生

ちょっと、不動産売却に関わる資料をみせてくれるかな?
うーん、確かに利益が1億円出ているね。


くま君くま君

そうなんだよ。
利益があるのに、資金繰りが悪化することなんてあるの?


おさる先生おさる先生

うーん。
税務上の利益と実際のお金の流れは別物だからね。
今回の資金繰りの悪化は借入金の返済が問題だね。


くま君くま君

どういうこと?


おさる先生おさる先生

不動産の売買取引の記録を見る限り、売却金額と借入金の残高がほぼ同額なんだ。
だから売却金額はそのまま借入金の返済に消えているんだ。
だけど、税務上は利益が出ているから、納税額の分だけお金が減っているんだよ。


くま君くま君

そうなんだ。
でも、借入金の返済も経費だから、そもそも利益が出ていること自体が間違いなんじゃないの?


おさる先生おさる先生

うーん、よく誤解されているけど、借入金の返済額は経費にならないよ。
残念なことに単なる支出でしかないんだよ。


くま君くま君

そ、そうなんだ。じゃあ、僕は納税額分だけ実際には損したことになるんだね…


おさる先生おさる先生

うーん。
これまでにこの不動産からどれだけ利益が出ているかにもよるけど、売却取引だけを見たら、金銭的には損したことになるね。


くま君くま君

衝撃の事実だね…
利益を出したはずなのに…
あ、おさる先生、教えてくれてありがとう!




借入金の返済は税務上の必要経費にはならない

借入金の残額を返済した場合に必要経費になると誤解されている個人事業主や会社経営者は非常に多いです。実際にお金が出て行っているので、経費になるようなイメージを持つ方も多いのですが、経費ではなく単にお金を支出しただけです。

税務上の考え方を言うと、借入金の残高の返済が必要経費になるのなら、借入をしたときに銀行から振り込まれた金額は収益計上しなくてはいけません。実際には、借入をしたときに収益計上して税金を支払っていないので、借入金の返済の時に経費になり税金が減るということもない訳です。

難しい話になってしまいましたが、まずは借入金の返済は必要経費にならないとだけ覚えておいてください。

不動産売却時は税法上の損益とキャッシュフローは異なることを意識しよう

例題を見た後で説明をした方が分かり易いので、まずは例題をご覧ください。

不動産の売却を以下の条件で行った時の税法上の損益と実際のお金の収支金額を計算してください。

  • 不動産の売却金額:3億
  • 土地・建物の帳簿価格:2億
  • 借入金の残高:3億
  • 税率:30%

【解答】
税法上の利益は1億円で、実際のお金の支出金額は3,000万円です。

【解説】
①税法上の損益
税法上の損益については不動産の売却金額ー土地・建物の帳簿価格で計算されます。
借入金の返済は単なる支出のため損益の計算には含みません。
よって、3億円ー2億円=1億円が税法上の利益になります。

②実際のお金の収支金額
収入金額は不動産売却金額の3億円です。支出金額は借入金の返済額と税金の支払額です。
借入金の支払額は3億円です。税金の支払額は上記で計算された税法上の利益×税率なので、1億円×30%=3,000万円となります。
よって収入金額3億円―支出金額3億3,000万円=△3,000万円が実際のお金の支出金額になります。

いかがでしょうか?

税法上は利益が1億円もあり、税金を3,000万円も支払っているのに、キャッシュフローはなぜか3,000万円のマイナスになっています。借入金の返済が必要経費にならないために、起こった悲劇です。

今回の例題は納税額が丸々支出超過の部分になるように、売却金額=借入金の残高にしてあります。この例題自体は極端かもしれませんが、税法上の損益と実際のお金の流れは違うということを覚えておいてください。

損益だけで不動産の売却を考えてしまうとキャッシュ・フロー的には大きなマイナスだったということはよくあります。

また、不動産の売却は大きな取引なので、一歩間違うと資金ショートの可能性も出てきますので、今回ブログの記事にさせて頂きました。