法人成り
この記事の対象者
  • 個人事業主で利益が500万円以上出る予定の人
  • 不動産管理会社の設立を検討したい人
  • 開業したばかりだけど、将来バリバリ稼ぐ予定の個人事業主

くま君くま君

おさる先生!
ある程度の所得(利益)が出始めたら不動産管理会社を設立した方が良いと聞いたんですが、本当ですか?


おさる先生おさる先生

そうだね。
個人事業主で利益が大きくなると、所得税は利益に応じて税率が高くなるから、納税額が増えるんだ。
不動産管理会社を設立すれば、法人税の税率は一定だから、個人事業主で利益が出るようになったら、不動産管理会社を設立した方がよいかもね。
ちなみに、個人事業主が会社設立の手続きを行い、株式会社などの法人に成りかわることを法人成りというんだ。


くま君くま君

そうなんですね。
ネットで少し調べたんですけど、利益が2,400万円ぐらい出てないと個人事業主の方が税金上有利みたいだから、利益が1,000万円しかない私には関係ないですよね?


おさる先生おさる先生

利益が1,000万円もあれば、不動産管理会社を作った方が納税額は減るはずだよ。


くま君くま君

え、そうなんですか?
でもこのインターネットの記事では、法人の場合の税率は40%ぐらいあるからそれなりに利益がでないと不動産管理会社をつくってはダメだって書いてありますよ。


おさる先生おさる先生

あ、それは法人税が減税される前の税率を使用しているね。
最近では、法人税の税率が昔より7%近く下がっているよ。
あと、大きな会社を前提とした税率を使用しているね。
利益が1,000万円ぐらいなら小さな会社を作ることになるだろうから、小さい会社にあった税率を使用しないとだめだよ。

法人成りとは

法人成り(ほうじんなり)とは、個人事業主が会社設立の手続きを行い、株式会社などの法人に成りかわることです。

今まで、個人事業主として行っていた業務を法人を設立して法人の業務として行うことをいいます。

納税額を考えるといつかは法人成りして不動産管理会社を設立した方が良い

個人事業主が法人成りして不動産管理会社を設立する究極のメリットは納税額が減ることです。

例えば、税率だけで考えると、個人事業主が適用する所得税の税率は5%~45%(累進税率)なのに対して、法人成りして不動産管理会社を設立すると法人税が適用され、最高税率は23.2%と一定です。

利益に税率を掛けて納税額を算出することは、所得税であっても法人税であっても変わりませんので、どこかのタイミングで所得税の税率が法人税の税率を上回ることになります

利益が大きくなり始め、所得税の税率が法人税の税率を上回ったタイミングで、個人事業主は不動産管理会社を設立して、法人成りするべきでしょう。

不動産管理会社設立(法人成り)の目安金額

それでは、総合的に勘案して不動産管理会社を設立する目安金額を考えてみましょう。

個人事業主と不動産管理会社で計算方法が変わる税金は以下の通りです。

個人事業主…所得税、個人住民税、個人事業税
不動産管理会社…法人税、法人住民税、法人事業税

この3つの税金を加味して縦軸を個人事業主の税率・不動産管理会社の税率、横軸を利益の金額とすると以下のようになります。

個人事業主と会社の税率比較

図でもわかるように利益金額で450万円を超えたあたりで、不動産管理会社の税率が個人事業主の税率を下回り、不動産管理会社を設立した方がお得になります

不動産管理会社を設立するかどうかは納税額だけでなく、事業の性質や周りの状況で大きく変わってくるので、一概には判断できませんが、目安としては500万円以上利益があれば、不動産管理会社の設立を考えてもよいという結論がでます。

今回の記事と同様の比較をしているホームページの記事が結構ありますが、税率がブログを書いた時点のもの、大きい法人の税率(法定実効税率)を使用しているものがあります

小さい会社ならば小さい会社ならではの税率(法定実効税率)があります。

法人成りを検討する場合は、小さい会社の税率を使う方がより比較としてはベターでしょう。

各々の利益金額での不動産管理会社と個人事業主の納税額合計の比較数値

最後に不動産管理会社と個人事業主の納税額合計の比較データを掲載しておきます。

上記表の元データですので、法人成りして不動産管理会社を設立することに興味がある人は参考にしてみてください。

<不動産管理会社の納税額総額>

(単位:万円)
利益 法人税 法人住民税 法人事業税 合計
195 48.77
330 77.69
400 92.68
450 104.29
500 115.89
550 127.49
600 139.09
650 150.69
695 161.14
900 219.30

※ 中小企業の場合の法定実効税率を使用して計算しているため、法人税・法人住民税・法人事業税で区分けなし


<個人事業主の納税額総額>

(単位:万円)
利益 所得税 個人住民税 個人事業税 合計
195 9.75 19.5 0 29.25
330 23.25 33 5.25 61.5
400 37.25 40 8.75 86
450 47.25 45 11.25 103.5
500 57.25 50 13.75 121
550 67.25 55 16.25 138.5
600 77.25 60 18.75 156
650 87.25 65 21.25 173.5
695 96.25 69.5 23.5 189.25
900 143.4 90 33.75 267.15