この記事の対象者 所要時間
  • 不動産賃貸業を営む個人事業主で利益が500万円以上ある人
  • 株式会社化(法人成り)を考えている個人事業主
  • 開業当初から会社設立を考えている人
12分




会社設立にはデメリットもある

もし、あなたが事業を始めようとした場合、最初から会社を設立するか個人事業主でいくか迷うことになるでしょう。また、個人事業主で事業の規模が大きくなってきた場合に会社設立をするか迷うこともあります。

基本的には利益で500万円以上ある場合や500万円以上の利益が見込める場合には、個人事業主の所得税率が法人の法人税率を超えてしまうので、会社を設立することをお勧めします。

会社を設立する目安金額については、「法人化した方がお得?個人事業主の法人成りの本当の目安金額!」で詳しくまとめていますので、そちらもあわせてご覧ください。

今回は会社を設立した方が節税面で優れていることを前提に、それでも発生してしまう会社設立(法人成り)のデメリットを挙げていきます。もし、デメリットのほうが大きいと感じたら、どんなに節税面で優れていても会社設立はしないほうがよいでしょう。

会社設立のデメリット

会社設立のデメリットを挙げると①手間がかかること②個人事業主としての評価を引き継ぎにくいこと③副業の場合に身元がばれやすいということの3つが主なデメリットになります。

この3つのデメリットをもう少し実務に即して詳細に細分すると以下の4つになります。

  • 会社の設立と維持には手間とコストがかかる
  • 会社の申告書の作成は個人事業主の時と比べて非常に煩雑になる
  • 短期的に融資が受けづらくなる可能性がある
  • 登記簿に自分の名前が載ってしまう

会社の設立と維持には手間とコストがかかる

まずは、会社の設立ですが、①定款の作成、②公証役場での定款の認証、③法務局への登記申請等と非常に手間がかかる作業が続きます。

やろうと思えば、ネットにすべての情報が記載されているので、自分でも手続きを行う事は出来ます。しかし、ネットの情報は必ずしも正しくないため、自分で手続きを行うと公証役場での定款の認証のところや法務局への登記申請のところで何回も修正を繰り返すことになります。

はっきり言って、会社を設立するような規模があるのなら、専門家に任せた方がよいです。

会社を設立すると登録免許税という税金が15万円かかりますが、それプラス司法書士さんに対する手続き代行料として10万円弱を見込んでおけばあなた自身で会社設立の手続きをする手間が省けることになります。

次に会社を維持する場合の手間ですが、こちらもいろいろ細かい雑務があります。

例えば、役員や会社の住所を変えたときは登記の変更になるので、登記簿の登録変更手続きを行わなければなりませんし、会社の場合、社会保険にも加入しなければならないので、毎月の事務手続きが非常に煩雑になります。

会社を維持するための雑務についても、手数料を司法書士や社労士に支払えば、あなた自身が手続きをする手間を省けるのですが、その分手数料がかかってきてしまいます。

会社の申告書の作成は個人事業主の時と比べて非常に煩雑になる

個人事業主に比べて会社の方が税務調査も厳しくなるので、決算書や申告書の作成の厳格化が求められます。

また、個人事業主の場合、所得税の申告書さえ税務署に提出しておけば、個人住民税・個人事業税の申告も自動的に行われますが、会社の場合は、法人税の申告書を税務署に提出するだけでは足りず、会社自らが法人住民税と法人事業税を計算したうえで、都道府県と市区町村に申告書を提出しなければなりません。

目安として売上高が5,000万円程度までならあなた自身で申告書を作成することもぎりぎり可能でしょうが、法人税・法人住民税・法人事業税の申告書作成にはかなりの手間がかかります。

なお、税理士に手数料を払えば、法人税・法人住民税・法人事業税の申告書作成・提出業務を自分で行う手間は省けますが、最低でも年間30万円以上の支払報酬がかかってきてしまいます。

短期的に融資が受けづらくなる可能性がある

会社を新たに設立しても最初の期が終わるまでは1円も利益が出ていないことになります。利益の出ていない会社が「将来利益が出るからお金を貸してください!」と頼んできても銀行はお金を貸してくれないでしょう。

よって、会社を設立した当初は銀行融資を受けづらくなる可能性があります。可能性があると書いたのは、絶対に融資を受けられないという訳ではないからです。例えば、創業融資など創業時にしか受けられない融資がありますし、連帯保証人のあなた自身の評価もあるからです。

ただし、会社が軌道に乗り始めて、合理的な事業計画を描けるようになってくれば、銀行もお金を貸してくれるようになります。さらに個人事業主のときと違い、社長であるあなたは会社とは別人格のためで、あなた自身が連帯保証人になれるため、銀行借入の機動性も大幅に上がるようになります。

よって、長期的に見た場合は、個人事業主として融資を受けるより会社として融資を受ける方が融資も受けやすくなるでしょう。

登記簿に自分の名前が載ってしまう

会社を設立して、自分を役員にすると、登記簿に自分の名前が載ってしまいます。会社の登記簿は法務局にいけば誰でも見ることができます。

もし、サラリーマンが副業で会社を設立しているならば、副業禁止の就業規則に違反するある可能性があるので、会社設立は慎重に検討しなければならないでしょう。