この記事の対象者 所要時間
  • 借入金の元本返済が経費になると思っている人
  • 開業前の借入金の利息が開業費にあたるか知りたい人
10分




借入金の元本の返済は必要経費(個人事業主)又は損金の額(法人)にならない

よく個人事業主の方や経営者の方に聞かれる論点の一つに「借入金の元本返済は経費になるの?」というものがあります。

結論からさきに言うと、借入金の元本返済は必要経費(個人事業主)又は損金の額(法人)になりません。誤解をしている人が多いですが、借入金の利息部分は支払利息として必要経費又は損金の額になりますが、元本の返済は必要経費又は損金の額になりません。

元本部分は借りたお金を返しているだけです。元本の返済が経費又は損金の額になるのならば、お金を借りた時は収益(個人事業主)または益金(法人)に計上することになってしまいます。

仕訳で考えると整理ができると思います。収益・費用の科目が一つも出てこないことに注目してみてください。

借入金の元本借入れ時

借方 金額 貸方 金額
現金又は預金
100,000,000円
借入金(負債)
100,000,000円

借入金の元本の返済時

借方 金額 貸方 金額
借入金(負債)
100,000,000円
現金又は預金
100,000,000円

銀行等からお金を借りた時と元本の返済があったときは、「借入金」という負債勘定が行って来いしているだけなのが上記の仕訳からお分かりになるでしょう。収益科目も費用科目も出てこないのです。ゆえに元本の返済は必要経費にも損金の額にもなりません。

なお、利息の返済は以下の仕訳になり、費用科目である「支払利息」が計上されますので、必要経費又は損金の額になります。

借方 金額 貸方 金額
支払利息
100,000円
現金又は預金
100,000円

開業準備段階の支払利息が繰延資産の開業費にあたるのか?

支払利息の話が出てきたのでもう一つ注意点を挙げておきましょう。

「開業前の支払利息が繰延資産の開業費にあたるのか?」という話ですので、すでに事業を開業している方については、支払利息に計上されたものは必要経費又は損金の額に算入できるとだけ覚えて、以下は読み飛ばしてください。

開業段階で借入をしている人又は借入の予定がある人は以下の論点を必ず押さえてください。

開業準備段階の借入金の支払利息について

銀行から借入れを行い、投資用不動産を購入又は建築して、不動産賃貸業を始めたとしましょう。

この場合、開業前の銀行に対する支払利息については、建物の取得価額に含めて計上しなければならず、繰延資産の開業費にはあたりません。

例えば、土地を持っていて、投資用の建物を建築するために6月に借入を行い、7月から元本と利息の支払いを始めたとします。ただ、不動産賃貸業を開業できるのは、建物が出来上がる10月末からだとします。その場合には7月、8月、9月、10月の支払利息は建物の取得価額に含まれて、10月の不動産賃貸業の開業の日から減価償却を通して費用を計上していくことになります。繰延資産の開業費にはならないので注意が必要です。

すでに不動産を購入して事業を行っており、今回新たに銀行借入をすることにより新しい投資用不動産を購入又は建築する場合

この場合、利息の支払い開始時期が不動産の購入より早くても支払利息(費用)として必要経費又は損金の額に算入されることになります。