この記事の概要 重要度
  • 国・地方公共団体が納税額を計算してくる税金を賦課課税方式の税金といいます。
  • 賦課課税方式の税金の納税方法は一括納税と分割納税の2種類があります。
  • 分割納税の場合、会計処理によって節税対策になったり、翌期に費用を繰り越すことが出来たりします。





当年度の利益が多額に計上されてしまうため、期末日間際にどうしても節税対策をしたいという会社経営者・個人事業主の方は多いと思います。

節税対策の中には、会計処理方法を変えるだけで、想像以上の効果が期待できるものもあります。

今回は一例として、固定資産税などの賦課課税方式による税金を利用した節税方法について解説していきたいと思います。

賦課課税方式の税金とは

賦課課税方式の税金とは国・地方公共団体等の公的機関が事前に納税額を計算し、賦課決定通知書を納税者に交付し、納税が行われる方式の税金です。

固定資産税、償却資産税、自動車税、不動産取得税などが賦課課税方式の税金としては有名です。

一般的な賦課課税方式の税金の会計処理方法

賦課課税方式の税金を納税した日に経費処理する会計処理方法が一般的です。
俗にいう、現金主義による会計処理方法で支払日に経費を計上するため、会計処理のし忘れを防ぐためには効果的です。

仕訳例を示すと以下のようになります。

【設例】
当社では、毎年5月末に固定資産税の納税通知書(賦課決定通知書)が届き、6月末、9月末、12月末、2月末の4回に分けて、それぞれ1,000円ずつ支払っています。
当社は10月末決算です。

(6月末の仕訳)

借方 金額 貸方 金額
租税公課
1,000円
現金又は預金
1,000円

(9月末の仕訳)

借方 金額 貸方 金額
租税公課
1,000円
現金又は預金
1,000円

節税目的の賦課課税方式の税金の会計処理方法

賦課課税方式の税金は賦課決定通知書が届いた日に経費処理することが可能です。

まずは、上記の一般的な賦課課税方式の税金の会計処理方法と同じ【設問】でどれだけ節税になるか確認してみましょう。

【設例】
当社では、毎年5月末に固定資産税の納税通知書(賦課決定通知書)が届き、6月末、9月末、12月末、2月末の4回に分けて、それぞれ1,000円ずつ支払っています。
当社は10月末決算です。

(納税通知書が届いた時の仕訳)

借方 金額 貸方 金額
租税公課
4,000円
未払金
1,000円

(6月末の仕訳)

借方 金額 貸方 金額
未払金
1,000円
現金又は預金
1,000円

(9月末の仕訳)

借方 金額 貸方 金額
未払金
1,000円
現金又は預金
1,000円

一般的な仕訳では、支払日が到来する度に租税公課を計上していますが、節税目的の仕訳では、納税通知書(賦課決定通知書)が届いた時に全額を租税公課に計上しています

つまり、節税目的の仕訳では翌年度に納税される12月末分と2月末分の固定資産税の納税額分も当期の会社の損金(個人事業主の場合は必要経費)に先取りに計上できるため、その分、節税に繋がります

節税効果

上記の【設例】では、納税額合計でも4,000円に設定してあったため、節税額が4,000円―2,000円=2,000円と微々たるものでした。

しかし、例えば不動産賃貸業を行っている人の固定資産税ならば、すべての物件を合わせれば、固定資産税400万円ということもあります。
この場合400万円-200万円=200万円の節税に繋がります。

賦課課税方式の納税額が多ければ多いほど効果が大きい節税方法になります

適用条件

ただし、賦課課税方式の税金の節税方法を適用するためには1つだけ条件があります。

納税方法が分割の場合のみ節税効果があるということです。

例えば、一般的な賦課課税方式の税金の会計処理方法の設例で納税通知書(賦課決定通知書)が届いた時に一括納税していた場合の仕訳は以下のようになります。

(一括納税時の仕訳)

借方 金額 貸方 金額
租税公課
4,000円
現金又は預金
4,000円

※ 一括で納税するため9月、12月、2月の納税額はなくなり、これ以降の仕訳はありません。

賦課決定通知が届いた時に一括納税の場合は、一般的な処理方法でも節税目的の処理方法でも損金(会社の場合)又は必要経費(個人事業主の場合)計上額は変わらないという結論になります。

まとめ

まずは、固定資産税などの賦課課税方式の税金の支払いを一括で行うか、分割で行うかを選択する必要があります。

通常、資金繰りの面から分割納税の方が有利と言われますが、税金の支払いを先に終わらせたいというニーズもあり、どちらが良いかは人それぞれでしょう。

その上で、分割納税を選んだのであれば、支払日に会計処理を行うか、賦課決定通知日に会計処理を行うかを選ぶことになります。

考え方としては、当期に利益が多額ならば、賦課決定通知日に会計処理をし、当期に利益がそれほどないなら支払日に会計処理を行うことになります。

賦課課税方式の税金がそれほどない場合はどちらで会計処理をしてもそれほど変わらないですが、賦課課税方式の税金がある人は当期の節税を狙うのか、来期以降に費用(租税公課)を残すのかを考えた方が良いというお話でした。

参考(根拠条文)

今回の記事の参考にした条文を下記にまとめておきます。

【所得税-個人事業主の場合】

固定資産税、不動産取得税、自動車税などの賦課課税方式による租税のうち納期が分割して定められているものについては、各納期の税額をそれぞれの納期の開始の日の属する年分又は実際に納付した日の属する年分の必要経費とすることもできます。
例えば、固定資産税の第4期分の税額は、原則として賦課決定を受けた年分の必要経費になりますが、その翌年2月が納期となっていますので、納期の開始の日である翌年分の必要経費とすることもできますし、又は実際に納付したその後の年分の必要経費とすることもできます。

【法人税-会社の場合】

不動産取得税、自動車税、固定資産税、都市計画税などの賦課課税方式による租税については、賦課決定のあった事業年度となります。
ただし、納期の開始日の事業年度又は実際に納付した事業年度において損金経理をした場合には、その損金経理をした事業年度となります。