経理実務をするのならまずは簿記の基礎を知ろう!





先日、中小企業の経理担当者研修を行ってきました。

研修を行ってみて毎回思う感想なのですが、実務でよく扱う部分に関しては非常に詳しいのですが、簿記の基本的な部分がすっぽり抜け落ちている場合があります。

基本的な簿記の知識がないと、例えば、①前任から受け継いだ方法で経理処理をしていてが現実と乖離し始めた事象に関して、経理処理を変える判断が遅れたり、②経理作業に時間が取れないために泣く泣く簡便な経理処理をしていたら、会社でそれが基本的な処理として定着してしまったりと色々不都合が生じます

そこで、「経理担当者向け」の経理実務解説を何回かに分けて書いていこうと思います。

経理初心者の方にも分かるように、本当に基本的な事から書いていきますが、経理経験者の方でも知識がすっぽり抜けている箇所(忘れている箇所)があると思いますので、知らない箇所があれば読んで頂けると幸いです。




簿記の基礎を確認しよう!

そもそも簿記とはなにか?

簿記とはなにか?
  1. お店や会社の活動を一定のルールに従って帳簿※1に記録・計算する手続き
  2. 財政状態※2や経営成績※3を明らかにするために必要

※1 取引を記録するノート
※2 お店や会社に現金や借金などがいくらあるのかという財産の状況
※3 お店や会社がいくら使っていくら儲けたか(損したか)という利益(損失)の状況

貸借対照表と損益計算書について

財政状態は貸借対照表、経営成績は損益計算書で明らかにします。
貸借対照表と損益計算書

貸借対照表の構造

貸借対照表の構造
  1. 決算日における財政状態を明らかにする表
  2. 左側に資産、右側に負債・純資産を記載

一定時点の締め日であり、年1回、3月31日などに設定(会社により決算日は異なる)

貸借対照表の構造

損益計算書の構造

損益計算書の構造
  1. 一会計期間における経営成績を明らかにする表
  2. 左側に費用、右側に収益を記載
  3. 費用と収益の差額で利益(または損失)を計算

※ 期首(会計期間の初日)から期末(決算日)までの期間であり、通常1年間

損益計算書の構造

仕訳について知ろう

仕訳について知ろう
  1. 日々の取引を勘定科目金額で記録する手段
  2. 左側を借方、右側を貸方という
  3. 増えたら貸借対照表または損益計算書と同じ側に、減ったら逆側に記入
  4. 借方の合計金額と貸方の合計金額は必ず一致
文房具(消耗品)を購入し、代金100円は普通預金で支払った。
借方(左側) 金額 貸方(右側) 金額
消耗品費
100円
普通預金
100円

ここでは、消耗品費と普通預金という勘定科目を使用します。
また、借方(左側)と貸方(右側)の金額は必ず一致します。

経理実務上の留意点

貸借対照表・損益計算書は仕訳が入力されれば自動的に作成される

貸借対照表・損益計算書は各々の仕訳の集合体です。

よって、弥生会計などの会計システムを利用すれば、仕訳を入力するだけで貸借対照表・損益計算書が自動作成されます

仕訳と貸借対照表・損益計算書の関係

仕訳は借方・貸方の両方で考えよう!

取引を仕訳にするときは必ず2つの要素が絡んできます

例えば、文房具(消耗品)を購入し、代金100円は普通預金で支払ったという先ほどの例題では、

  1. 文房具を購入したので消耗品費という勘定科目の金額が増えた
  2. 文房具を購入した見返りに普通預金という勘定科目の金額が減少した

という要素が絡んでいます。

簿記には2つの要素が絡んでいる

熟練の経理担当者の方にとっては、なにを今更と思うかも知れませんが、新しい取引が発生した時に意外と要素が2つ絡んでいるという事実を忘れていることが多いです。

経理担当者が新しい取引に対する仕訳質問に来た時に、「借方は○○という勘定科目ですよね?じゃあ、貸方はどんな勘定科目になりますか?」と逆に質問すると大抵正しい答えが出てきます。

2つの要素をごっちゃにして考えていると頭が混乱しますので、仕訳が分からなくなった時は、要素を1つずつ分解して考えるようにしてください。

仕訳の間違いに気づいたら(絶対にやってはいけない処理方法がある!)

仕訳の入力後に仕訳間違えに気付いてしまった場合、仕訳自体を直さなければなりません。
仕訳の修正方法は、2パターンあります。

原則処理

過去に間違った仕訳の取り消し仕訳を入力し、新しい仕訳を入力する方法です。

例)

もとの仕訳(4月5日に入力)

借方 金額 貸方 金額
消耗品費
600円
現金
600円

消耗品費の金額が800円だったことを当期の4月30日に気付いて修正仕訳をします。

もとの仕訳の取り消し仕訳(4月30日に入力)

借方 金額 貸方 金額
現金
600円
消耗品費
600円

正しい仕訳の入力(4月30日に入力)

借方 金額 貸方 金額
消耗品費
800円
現金
800円

許容処理

過去に間違った仕訳を直接入力し直す方法。

例)

もとの仕訳(4月5日に入力)

借方 金額 貸方 金額
消耗品費
600円
現金
600円

消耗品費の金額が800円だったことを当期の4月30日に気付いて修正仕訳をします。

正しい仕訳の入力(4月5日を直接修正

借方 金額 貸方 金額
消耗品費
800円
現金
800円

⇒もとの仕訳の600円の金額を直接800円に打ち換えてしまう方法です。

記帳者 = 上席者(税理士の場合も含む) = 経営者の場合(つまり事業を1人で会社をやっている場合)以外は、必ず、原則処理(取消仕訳+訂正仕訳)を行ってください

許容処理(仕訳の直接修正)は過去に遡って金額修正が入ってしまい、チェックする側からすると過去の仕訳の修正を逐次把握できず、仕訳のチェック漏れを起こしてしまいます。

その結果として、上席者(税理士を含む)・経営者の管理不能状況を引き起こします

上場企業の経理で行われている慣行ですが、中小企業では徹底されていない超重要事項です。

繰り返しになりますが、必ず原則処理(取消仕訳+訂正仕訳)を行ってください。

 

ワンポイント

弥生会計では、仕訳を直接修正してもその履歴が出せるため、取消仕訳+修正仕訳を忘れてしまってもほとんどの場合リカバリーできます。

ただし、残念なことに同じ仕訳を間違って2つ入力して削除した場合(2重仕訳の削除の場合)にその履歴は残りません

つまり、記帳者は多少面倒にはなりますが、仕訳を修正する場合には、取消仕訳+修正仕訳をしないと後々、上司や税理士に変更理由を厳しく問い合わされて、結局多くの時間を割くことになります。

弥生会計(会計システム)で使用できる勘定科目

弥生会計などの会計システムでは個別に設定しなくても勘定科目が最初から登録されています

よって、随時、必要な勘定科目は追加し、不要な勘定科目は削除して会社で使い易いようにカスタマイズしていきます。

参考までに下記によく利用する勘定科目一覧表を載せておきます。

貸借対照表・損益計算書の勘定科目